「タール1mg」や「ライト」といった表記がある低タールのタバコは、「タール20mg」などと書かれたタバコと比べると体への影響が少ないイメージがあります。実際のところ、低タールのタバコを選べば、禁煙しなくても体にかける負担を小さくできるのでしょうか。
低タールのタバコは健康への害が少ない?
- タールは多くの発がん性物質を含む有害物質のひとつ
- タバコ1本に含まれるタールやニコチンの量は、パッケージに記載されているタールやニコチンの数値とは無関係
- 低タールのタバコは、タールが多いタバコと健康被害の程度は変わらない
パッケージに記載されている数値は、一定の条件下で機械が吸引した煙を分析したもので、フィルター部分の空気穴の数や紙巻きの種類で変わります。たとえば、空気穴が多かったり、空気を通しやすい紙巻きが使われているタバコは、ニコチンやタールの測定値が低くなります。
しかし、実際にタバコを吸うとき、この空気穴は指で塞がれてしまうのでほとんど機能しません。また、低タールのタバコを吸う方は、満足感を得るために深く吸いこんだり、あるいは根元まで吸ったりしがちなので、結果的にタールの数値が高いタバコとほぼ同じ摂取量になってしまいます。
低タールのタバコのほうが肺がんリスクが高い?
- タール0~7mgのタールが少ないタバコと、タール8~14mgのタバコとで肺がんリスクを比較分析した調査を実施したところ、「低タールのタバコのほうが肺がんリスクが高い」ことが判明
- 低タールのタバコを吸っている方の多くが、パッケージに表示されている数値よりも多くのタールやニコチンを吸引している可能性がある
まとめ:タールが少ないタバコも体の負担は大きいです
- 低タールのタバコを選んでも、体にかける負担はタールが多いタバコと大差ない
- 満足感を得るために、深く吸い込んだり、根元まで吸ってしまったりすると、箱に記載された数値以上のタールを吸い込んでしまうリスクがある
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
低タールという売り文句は、喫煙者に健康への悪影響が少ない印象を与えますが、この記事にあるように、実際には吸い方で実際に吸い込む量が変わります。
タバコには、タール以外にも体に悪い影響を及ぼす物質も多く含まれています。低タールだから大丈夫、と安易に考えないようにしましょう。