頭痛を和らげるためにカロナール®を処方された方が、効かないからロキソニン®に変えたいと薬局を訪れたとき、そのままロキソニン®を販売してもよいのでしょうか。この記事では、カロナール®が効かなかった原因として考えられることと、ロキソニン®を求めている方への対処法を解説します。
カロナール®が頭痛に効かなかった理由は?
- ロキソニン®などのNSAIDsと比べると抗炎症作用が低い
- 服用量が少なかった
カロナール®の1日あたりの最大服薬量は、以前は500mgでしたが、現在は1,000mgまで引き上げられています。用量が少なかったために、頭痛に対して十分な効果を発揮できていなかったのではないかと考えられます。
頭痛でカロナール®の服用する場合の用量は?
- 成人の場合、通常1回あたり300〜1,000mgを経口投与
- 投与間隔は4〜6時間以上
- 1日あたりの服用量は最大4,000mgまでだが、年齢や症状によって増減することがある
- 頭痛改善目的で服用する場合の服用量および1日あたりの上限
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- カロナール®錠200:1回あたり5錠、1日あたり20錠が上限
- カロナール®錠300:1回あたり3錠、1日あたり13錠が上限
- カロナール®錠500:1回あたり2錠、1日あたり8錠が上限
カロナール®︎が効かないとき、ロキソニン®︎に変えられる?
- ロキソニン®には胃の粘膜にダメージを与える副作用があることに注意が必要
- インフルエンザのときにロキソニン®を服用すると、インフルエンザ脳症を引き起こす恐れがある
- 医師からカロナール®を処方されていた場合、市販のロキソニン®を販売するのは控え、主治医への相談を促す
ロキソニン®はカロナール®と同じく、プロスタグランジンの生成に必要な酵素(COX)を阻害し、痛みを和らげる作用があります。この作用はカロナール®より強いため、痛み止めとしてロキソニン®を使う方も多くいます。しかし、プロスタグランジンには胃粘膜を保護する作用もあるため、ロキソニン®によって胃の粘膜が荒れる恐れがあります。まずはカロナール®を処方した医師に相談するよう促すことが大切です。
カロナール®は授乳中も服用できる?
- カロナール®は授乳中の女性でも服用できる
- ロキソニン®など、ほかの解熱鎮痛薬と比べて副作用が出にくい
まとめ:カロナール®は安全性が高いものの、頭痛緩和の効果はやや低い薬です
- カロナール®は、子供や妊婦、授乳中の女性でも比較的安全に服用できる
- ロキソニン®などと比べて効き目が弱い
- カロナール®では頭痛を緩和できない場合、まずは主治医に相談するよう促す
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
カロナール®︎とロキソニン®︎では作用機序が異なるため、ロキソニン®︎に切り替えると痛みがやわらぐ可能性があります。しかし、両者は副作用も大きく異なるため、十分な注意が必要です。
また、カロナール®︎は4000mg服用すると肝障害が起こる可能性があります。海外では多量服薬による死亡者が非常に多く、手軽に使用できる薬である反面、使用法を誤ると非常に危険な薬と言えます。