エペリゾンは脊髄の中枢神経系に作用する成分です。先発薬は1983年に販売開始されたため、現在は多くのジェネリック医薬品が販売されています。この記事では、エペリゾンがどんな成分かや副作用、服用時の注意点などを紹介します。
エペリゾンとは
- エペリゾンは鎮痙剤のひとつ。効き目が穏やかで副作用も比較的少ないため、各診療科で広く使われている
- 主に痙性麻痺などの筋肉がこわばる疾患、腰痛、手足のこわばり、ひどい肩こり、五十肩、緊張型頭痛などに処方される
- 中枢神経系に作用して、筋肉を緊張させている神経を鎮めたり、血管平滑筋をゆるめて筋肉の血流を改善する作用がある
- 軽い鎮静・催眠作用もあるため、脳血管障害や外傷後遺症などにも使われることも
- 他の鎮痙剤と比べて鎮静作用や催眠作用が弱く、眠らせずに抗けいれん治療を行いたい患者に使われることもある
エペリゾン配合薬にはどんなものがある?
- 先発薬としてミオナール®(錠剤、顆粒薬)がある
- 錠剤は通常、1日3錠を3回に分けて食後に経口で服用。顆粒は1日1.5gを3回に分けて食後に服用する
- ジェネリック医薬品(錠剤)もある
エペリゾンの副作用は?
- エペリゾンの副作用は少ないものの、ときに鎮静・催眠作用による脱力感・ふらつき・眠気などがみられることがある
- 副作用の程度は弱い。ただし、症状がひどい場合は減量や休薬する可能性がある
また、頻度は高くありませんが、食欲不振や吐き気などの胃腸症状、発疹やかゆみなどのアレルギー症状が出る可能性もあります。
服用時の注意点は?
- 服用中は、車の運転や機械の操作など危険を伴う作業を控える
- もともと肝機能が低下している人は、症状が悪化することがある
- 妊娠中、またはその可能性がある方は、安全性が確立されていないため、治療のメリットがリスクよりも高いと判断されたときのみ使用される
- 授乳中の人への投与も基本的に避けるが、どうしても必要な場合は服用中の授乳を中止してもらう
- 筋弛緩剤に含まれる成分(メトカルバモール)は、エペリゾン塩酸塩と似たトルペリゾン塩酸塩と併用した際に眼の調節障害が現れたという報告があるため、併用は避けたほうがよい
まとめ:エペリゾンは鎮痙剤の一種で、筋肉のコリやこわばりを取り除きます
- エペリゾンは鎮痙剤と呼ばれる薬に含まれる成分
- 筋肉を緊張させている中枢神経系に作用し、血管の筋肉をゆるめて血流を改善する
- 副作用は少ないが、軽い鎮静・催眠作用があるため、眠気・脱力感・ふらつきなどがみられることがある
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
エペリゾン(ミオナール®)は筋弛緩作用があるとされ、緊張性頭痛や肩こり、「筋肉が張った感じ」などの症状に対して処方されることがあります。ただ、全体としては効果は弱く、疾患に対する治療効果があるというエビデンスに乏しい薬です。良くも悪くもおまじないような意味合いの薬で、特に副作用で悪影響を及ぼすということもあまりないと考えられます。
しかし、どのような薬でも、不必要な薬を長期的に内服したり多数の薬剤を内服すること(ポリファーマシー)が悪影響を及ぼすことはよく知られています。肩こりなどミオナールの適応は慢性疾患ですが、特に効果も感じていないのにミオナールの処方が漫然と継続されている場合は、今後の悪影響を避けるために中止を検討する必要があるでしょう。