日常生活を送る上で、大なり小なりストレスを感じることがあると思います。この記事では、自分にとってストレスになることをどのように受け止めていけば毎日を過ごしやすくできるかを解説します。
ストレスは体によくない?
- ストレスとは、何らかの外的な刺激が加わわって体に変化が起こること
- 人間の体は、ある程度ストレスに抵抗できる(例:アドレナリンなどの抗ストレスホルモンを分泌させ、血圧を上昇させる)
- 適度なストレスは、良い緊張感を与えて行動力を高める効果がある反面、ストレスが強すぎたり、ストレス状態が長期にわたって続く場合は体が抵抗しきれず、精神的にも身体的にも急激な不調につながる
手軽にできるストレス解消法は?
体を動かす
- 体を動かすと余計なことを考えず、落ち込んだ気分をリセットできる
- 各種スポーツや庭仕事など、自分が楽しめるものを試してみる
紙に書き出す
- いつも考えていることや、心にしこりを抱えていることを紙に書き出すと冷静に振り返ることができる
- モヤモヤを解消できるだけでなく、問題点や自分の感情、解決策などを整理することができる
誰かと楽しい時間を過ごす
- 信頼できる誰かと過ごすことは安心感につながる
- 相談しながら具体的なストレス解消方法を探っていく
大声を出す
- 大きな声を出すことはストレス解消につながる
- カラオケやスポーツの応援などで発散する
自然の中で過ごす
- 職場や自宅から離れて、自然が豊かな場所で過ごす
- 海辺や森林の中で過ごすだけでもストレスが軽減される
湯船につかる
- お湯の温度は39℃前後とややぬるめに設定すると、副交感神経が働いてリラックスできる
- 好きな入浴剤を入れて香りを楽しむのもおすすめ
ただし、ストレス解消と称して過度な飲酒や買い物、食べすぎやギャンブルは、健康にも経済的にも大きなダメージを受けることがあります。上記に紹介した方法を試してもストレスが解消できていないときは、専門機関で相談しましょう。
効果的なストレス解消法「コーピング」とは?
- コーピングとは、ストレスを解消する際のスキル
- ストレスに直接働きかけたり、捉え方や感じ方を変えるなど、ストレスを軽減することを目的とする
問題焦点型コーピング
- ストレッサーそのものにアプローチし、ストレスを解決しようとすること
- たとえば「エアコンの寒さ」がストレッサーとなっている場合、エアコンの温度を高くしたり、着るものを工夫したりすること
情動焦点型コーピング
- ストレッサーへの考え方や感じ方を変化させることで、結果的にストレス反応を軽減しようとすること
- とても難しい仕事に対して、「つらい」だけでなく「自分を成長させるチャンス」と、ものごとの見方を変えることが該当する
ストレス解消型コーピング
- ストレスを感じたときに何らかの方法でストレスを発散させること
- おいしいものを食べたり、スポーツをしたりするほか、リラクセーションを促す体操やヨガ、呼吸法も含まれる
ただし、特に対人関係がストレスの要因になるときには、なかなか解決に至らないこともあります。自分だけで抱えこまずに専門家に相談してみることも、大切なコーピングのひとつです。
まとめ:さまざまな方法を試しながら、ストレスとうまく付き合いましょう
- ストレスの要因は、人間関係や仕事、家事や育児のほか、気温やにおいなどさまざまなものがある
- ストレスがまったくない状態はないため、折り合いをつけながら過ごす必要はあるが、過剰なストレスは心身に影響を及ぼす恐れがある
- ストレスがたまりすぎる前に、コーピングを試しながらストレスとうまく付き合う
- コーピングでもうまく対処できないときは、専門家の助けを借りる
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
人間を含む動物には、太古の昔からストレスを受けたときにアドレナリンやコルチゾルなどのストレスを分泌し、体内の生理的状況を迅速に変化させるシステムが備わっています。このようなストレス反応は、捕食動物に襲われたときなどの危機的状況で有利に働くため、生存に有利に働き現在まで残っているわけです。
しかし、長い歴史の中で動物が受けていたこのようなストレスは基本的には短期的なストレスです。短期的なストレスは必ずしも身体に害悪とは限らず、むしろ健康に良いと主張する論文もあります(例:ホルミシス効果)。
それでは現代社会のストレスは何が問題なのでしょうか。それはほとんどの場合、長期間持続することです。このような長期間のストレスは現代に突然登場したため、動物の体にはこのようなストレスへの準備はできていないのです。
そのため、現代社会をうまく生き抜くためには、この記事で紹介するようにストレスに対する心理的な受け止め方を工夫する必要があるのです。