非常に感受性が豊かなぶん、傷つきやすく繊細な「HSP(Highly Sensitive Person)」。HSPは「AC(Adult Children)」と似た特徴を持つため、混同されることもあります。この記事では、HSPとACの違いについて解説します。
HSPとは
- HSP(Highly Sensitive Person)は「とても敏感な人、繊細で感受性が豊かな人」を指す言葉
- アメリカの心理学者・エレイン=アーロン博士が名づけた概念
- HSPは特性・生まれもっての気質であり、疾患や障害ではない
- 非常に感受性が高いため、突然の大きな音や光といった外的刺激に弱い
- 他人が怒られている場面を見ると、自分ごとのようにダメージを受けてしまう
HSPの4つの特徴:DOESとは
- D:Depth of processing(深く処理する)
- O:being easily Overstimulated(過剰に刺激を受けやすい)
- E:being both Emotionally and having high Empathy in particular(全体的に感情の反応が強く、特に共感能力が高い)
- S:being aware of Subtle Stimuli(ささいな刺激を察知する)
相手のわずかな表情の変化や声のトーンなどから「この人はいま機嫌が悪い」といったことを敏感に察知し、そのフォローに回ろうとするため、1日が終わる頃にはぐったりと疲れ果てていることもあります。また、「物事を深く考えるために決断が遅い」「疲れると自分の殻に引きこもってしまう」といった特徴もみられます。
AC(アダルトチルドレン)とは
- 幼少期の虐待や不適切な教育環境によるトラウマから、自己評価が極端に低くなっており、不安感や飢餓感を持つ人のこと
- HSPと同じく、医学用語ではなく、その人の特性を指す概念
ACの一例
- ヒーロータイプ
- 家庭の雰囲気を壊したくないという自己防衛の気持ちから、学校で良い成績を取り続けるなど、評価してもらうために過剰に努力し続ける
- ケアテイカータイプ
- 家庭が崩壊しないよう、自己犠牲的に家族の世話をして支え続けようとする
- ピエロタイプ
- 家庭が暗い雰囲気になるのを避けたいがために、わざとおちゃらけたり、笑わせようとしたりして顔色を伺い続ける
HSPとACは同じ?
- HSPとACは別の概念
- ACの人は虐待や親からの否定的な言動、機能不全家族などの家庭環境が原因なのに対し、HSPの人は必ずしも家庭環境に問題があるわけではない
ただ、HSPの方は、ACの心性を持ち合わせている人も少なくありません。というのも、HSPの子供がHSPではない親に育てられた場合、その繊細な特性がうまく理解されず、否定的な言動を浴びることになってしまうことがあるためです。
また、HSPの親に育てられた場合も、「どうやって子育てしたらわからない」という困惑から、愛情を十分受けられないケースもあります。その結果、自己肯定感が極端に低い子供になってしまう可能性があります。
まとめ:HSPとACは別の概念ですが、併存することもあります
- HSPとACは混同されやすいが、それぞれ別の概念
- ただし、HSPの人が幼少期に特性を理解してもらえず、家庭内で否定的な言動を受け続けると、ACの心性を持ち合わせてしまうことがある
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
HSPの特徴をご覧いただくと、多かれ少なかれ自分にも当てはまるのではないかと思うかもしれません。報告によると、人口の20%の人がHSPの性質を持っているとも言われています。したがって、どの職場・学校などにHSPの気質を持つ方がいる可能性があります。多くの文献がありますから、関心がある方は読んでみるのもおすすめです。