腟カンジダ症は、初めて発症したときは病院で薬を処方してもらう必要がありますが、再発の場合は市販薬で治療することができます。この記事では、腟カンジダ再発に使える市販薬を紹介するとともに、再発を予防するためにどんなことに気をつければよいかを紹介します。
腟カンジダ症とは
- 腟カンジダ症とは、腟口の組織である腟および外陰部の刺激、腟分泌物および激しいかゆみを引き起こす真菌感染症
- 性感染症ではない
- 口や生殖器の接触を通じて真菌類が拡がる
- 1年以内に4回以上発症している場合は治療が長期化する傾向があるため、厳密な計画に沿った治療が必要になることも
腟カンジダ症は、カンジダ・アルビカンスを代表とするカンジダ属の真菌が引き起こす病気です。ほとんどの女性は腟内にカンジダを保菌しています。通常は問題を起こしませんが、妊娠中や抗生物質の服用、免疫力の低下などで腟内の細菌のバランスが崩れると、カンジダ菌が繁殖して発症します。
腟カンジダ症は性感染症(STI)ではありませんが、性行為の際に腟が乾燥していると、性行為を通してパートナーに感染させてしまうことがあります。
腟カンジダ症が再発する原因
再増殖
- 症状が改善しても、腟内にわずかに菌が残っていた場合に起こる
再感染
- 腸管に存在するカンジダ菌が、外陰部を通して肛門から腟に再感染する
- 性行為による再感染
再発した腟カンジダは市販薬で治せる?
- 再発した腟カンジダは、軽度なものであれば市販薬(錠剤、塗り薬)で治すことができる
- ただし、妊娠中や授乳中の方、持病がある方、何らかの薬を使用している方、過去に副作用があった方は、必ず医師に相談してから使用する
錠剤(腟錠・腟座薬)
- 腟全体に有効成分を行きわたらせることができる、効果が高い薬
- 白くボロボロとしたおりものが出るなど、カンジダ特有の症状がある場合に選択
- 市販薬としては、フェミニーナ®腟カンジダ錠(スリムな形が特徴)、フレディ®CC(使い捨てのアプリケーターに錠剤がセットされている)が有名
塗り薬(軟膏・クリーム)
- 塗ったところにだけ効果がある薬
- おりものに異常はなく、外陰部のかゆみや赤みといった症状だけの場合に選択
- 市販薬としては、メディテート®クリームやシュトガード®などが有名
- 塗り薬を3日程度使用しても症状が改善しない場合、錠剤も併用するのがおすすめ
病院へ行ったほうがいい場合は?
- 2カ月以内に再発した
- 半年に2回以上の頻度で再発を繰り返している
- 市販薬で効果を実感できない
多くの市販薬には、半年間に2回以上再発を繰り返す場合は、医師の診察を受けて適切な治療を受けるよう注意書きがされています。頻繁に腟カンジダの再発治療薬を購入している場合はひと声かけるのが安心です。
腟カンジダが再発したかのチェックポイントは?
- 外陰部の強いかゆみ
- ヨーグルトやカッテージチーズのような白くボロボロしたおりもの
- 外陰部の灼熱感
- 性交痛
ただし、これらの症状は他の性感染症でも起きることがあります。いつもと違う症状がみられるときは、念のため病院で検査を受ける
再発予防のために気をつけるべきことは?
- カンジダ菌の再増殖を防ぐ上で日常生活を見直す
- 免疫力の低下を防ぐために、健康的な食事や十分な睡眠を心がける
- 通気性の良い服や下着を着用する
- 抗生物質やステロイド剤などは医師の指示に従って服用する(必要以上に服用しない)
- 性行為のときはコンドームを着用する
- 陰部を石鹸などで過剰に洗い過ぎないこと
陰部を洗いすぎてしまうと腟が通常持っているバリア機能が失われてしまうため、かえってカンジダ菌が増殖しやすくなります。
まとめ:膣カンジダ症で市販薬が使えるのは再発の場合のみです
- 腟カンジダ症が再発した場合、市販薬で治療できる
- 再発予防には、健康的な生活とやデリケートな部分を清潔に保つことが大切
- ただし、過剰に洗いすぎるとバリア機能が失われてしまうため、要注意
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
カンジダは腟に常在しており、常在細菌叢の乱れやストレス、免疫機能の低下などの要因があると異常に増殖して症状を引き起こすことがあります。治癒したあとも繰り返しやすいため、一度かかったことのある方は、再発の可能性がある体質だと認識し、日ごろから注意することが大切です。
腟カンジダは軽症であれば自然治癒することもありますし、会陰だけであれば軟膏を塗布する程度でも治ります。ただし、カッテージチーズのようなおりものが出て、腟の中まで痒くなってしまうと腟錠での治療が必要です。市販薬でも治療は可能ですが、もしなかなか症状がよくならない場合など、何かおかしい点があれば違う病気が隠れている場合もありますので、産婦人科を受診するよう伝えてください。