よく眠れない、寝つきが悪いなどの症状に陥ったとき、睡眠改善薬や睡眠導入剤といった薬が処方されることがあります。この記事では、睡眠改善薬と睡眠導入剤の違いや服用時の注意点について解説します。
「睡眠改善薬」と「睡眠導入剤」の違いは?
- 睡眠改善薬と睡眠導入剤は、それぞれの薬が対象とする「症状」と「入手方法」に違いがある
「症状」の違い
- 睡眠改善薬
-
- 一時的な不眠症状(精神症状が原因でない、寝つきが悪い、睡眠が浅いなど)がみられる
- 睡眠導入剤
-
- 慢性的な不眠症状(精神症状が原因のものを含む)がみられる
「入手方法」の違い
- 睡眠改善薬
-
- OTC医薬品のため、処方箋なしで購入できる
- 睡眠導入剤
-
- 処方箋が必要
「効き目」の違い
- 睡眠改善薬のほうが、睡眠導入剤より効き目が緩やか
睡眠改善薬を服用してよい期間は?
- 連続使用は2~3日程度にとどめる
- 長期連用は避ける
長期連用を避けるべき理由
- 耐性ができるのが早い(2日目以降には効き目が悪くなる)
- 中枢神経を麻痺させて眠りを誘うため、常用すると慢性的な集中力・判断力の低下を招く
- あくまで一時的な不眠症状の緩和が目的のため、不眠症の治療にはならない
薬の成分そのものに耐性ができるため、別の睡眠改善薬を服用しても、成分が同じであれば効果は得られません。
睡眠改善薬の対象となる「一時的な不眠症状」とは3日までの連続的な不眠を指します。それ以上の日数まで症状が続く場合、慢性的な不眠の可能性が高いため、医師に診てもらうのが望ましいです。
処方された睡眠導入剤と睡眠改善薬を一緒に服用してよい?
- 睡眠改善薬と睡眠導入剤は基本的な作用が異なる
- しかし、一緒に服用すると相互作用によって思わぬ副作用を招く恐れがある
- 医師から睡眠導入剤の処方されているなら、睡眠改善薬を服用してはいけないことを伝える
睡眠改善薬と一緒に服用してはいけない薬は?
- 風邪薬
- 解熱鎮痛薬
- 鎮咳去痰薬
- 抗ヒスタミン剤を含有する鼻炎用内服薬
- 酔い止め薬など抗アレルギー用薬
上記はいずれも、一緒に服用すると副作用(睡眠誘発の作用が異常に強く現れたり、口が乾いたりする)が強くなる恐れがあるものです。
まとめ:睡眠改善薬と睡眠導入剤は別のもの。服用時は注意が必要です
- 睡眠改善薬と睡眠導入剤は、その成分や作用、対象とする症状、入手方法に至るまでさまざまな違いがある
- 特に睡眠改善薬の服用では、連続の服用期間と他の睡眠導入剤・薬との飲み合わせに注意が必要
- 睡眠改善薬は睡眠導入剤に比べ効き目が穏やかで入手しやすいが、用法・用量と注意事項をきちんと守ることが必須
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
睡眠改善薬と睡眠導入剤は成分が根本的に異なります。睡眠改善薬は風邪薬の眠くなる成分を逆手に取って眠りに導いてくれるもののため、治療効果は高くありません。したがって、本当に不眠症のときは睡眠導入剤が必要です。
また、これは双方の薬に共通することですが、長期的に利用することで耐性が生じます。不眠解消は生活習慣の改善も大きく関わるため、まずは生活習慣の見直しから始めるよう勧めてみてください。もちろん、不眠が何日も続いていてつらそうな様子が見受けられるときは、ためらうことなく医師に診てもらい、症状に合った薬を処方してもらうことが大切です。