高齢者や介護にまつわる「フレイル」とは要介護状態に達する前段階のことで、加齢によって心身の機能や行動・生活の意欲が衰えた状態を指します。この記事では、フレイルの予防に有効的な筋力トレーニングやウォーキングなど、運動のポイントを解説します。
フレイルとは
- フレイルとは、加齢とともに運動機能や認知機能などの低下とともに、複数の慢性疾患があることで心身が衰えている状態
- フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられている
- フレイルの段階で適切な支援をすれば、生活機能の維持・向上をはかることができる
フレイル予防としての筋トレ、ポイントは?
- 加齢による筋力減少と行動意欲低下を改善するにはレジスタンス運動がおすすめ
- レジスタンス運動とは、特定の関節や筋肉など、局所に負荷をかけ、その負荷を数週間単位で上げていくことで骨格筋全体の強化をめざす運動のこと
- 週に2~3回、1個所につき20分程度の運動を3カ月以上継続して行うのが理想
下肢に効くレジスタンス運動 ①
- 椅子に膝が90度になるように背筋を伸ばして浅めに腰かけ、両手は座面に乗せる
- 姿勢を崩さないよう注意しながら、足の付け根から動かすイメージで足を持ち上げる
- かかとが床に着かないところまでゆっくりと下ろす
- ②、③の動作を繰り返す
この動きを左右それぞれ10回ずつ、膝の角度を変えないように気をつけながら行います。
下肢に効くレジスタンス運動 ②
- テーブルの前に椅子を設置し、背筋を伸ばした状態で、膝は90度に曲げて浅めに座る。手は左右それぞれ、ももの上に置く
- 体の前にあるテーブルの縁に軽く両手を添え、ゆっくりと立ったり座ったりする動作を10回程度繰り返す
手に体重をかけずに上下することで、下肢の骨格筋が鍛えられます。
フレイル予防で行うウォーキングのポイントは?
- 背筋を伸ばし、胸を張って、おへそから前に引っ張られるイメージで進む
- 歩くときはかかとから踏み出して着地し、つま先で地面を蹴って大股に歩く
- 肩、首、腕の力は抜いて、手は肘から前後に大きく振る
- 合計20~30分のうち、速度を普通~早歩き、大股歩きなど周期的に変える
筋トレと一緒にウォーキングも行うと、主に下肢の筋力を高めて脚力や歩行能力をアップさせることができます。また、普段なかなか話す機会のない方や場所とかかわるよいきっかけにもなります。
まとめ:筋トレとウォーキングを心地よく続けながらフレイルを予防しましょう
- フレイルの予防に、自宅の椅子やテーブルを使った立ち座りの繰り返しや、正しい姿勢でのウォーキングなど、1日20~30分の運動を週2~3日続ける
- なるべく自力で歩いたり、トレーニングしたしりながら健康寿命を延ばす
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
フレイルの予防には、筋力トレーニングに加えて低栄養を改善したり、家に閉じこもらないよう外に出ることも大切です。外で活動しながら、自分の食べられるものを食べることで活力を取り戻すとともに、筋力トレーニング(特にこの記事にあるような下肢のトレーニング)を中心に行いながら、筋力を維持してフレイルに陥らないようにしましょう。