RSウイルス感染症は、3歳までにほぼ全員のお子さんがかかる感染症です。この記事では、RSウイルス感染症の症状や予防法を紹介します。
RSウイルス感染症の主な症状
- 感染後、4日~7日程度の潜伏期間後に発症する
- 発熱や鼻水、咳といった風邪に似た症状が数日間続いた後、症状は治まる
- 炎症が下気道に及ぶと、咳の悪化、喘鳴、呼吸困難が現れることもある
RSウイルスは、生涯にわたって感染と発症を繰り返すウイルスです。特に、幼児期は再感染が頻繁にみられます。たいていは軽症で済みますが、子供や心肺や神経、筋肉などに持病をお持ちの方、免疫不全がある方、高齢の方は重症化につながるケースが多いです。特に、子供は重篤な合併症である無呼吸発作や急性脳症などに注意が必要です。
RSウイルス感染症の対処法
- 特効薬がなく、対症療法が中心
- 咳や発熱といった症状がみられるときは温かくして十分に睡眠をとり、栄養補給と水分補給に努める
- 発熱には解熱薬(カロナールなど)を服用する
- 呼吸器症状には、鎮咳去痰薬や気管支拡張薬がよいとされる
- 重症化しそうな場合は、入院治療が必要になることもある
保育園や幼稚園はいつまで休ませる?
- RSウイルス感染症は、インフルエンザや百日咳、水疱、風疹などのように法律上(学校保健安全法)登園制限が定められている病気ではない
- RSウイルスは感染力が強いため、回復したように見えても(咳や鼻水が止まった、熱も下がった、食欲が出てきた、など)事前にかかりつけの医師に相談して指示を仰ぐのが無難
RSウイルスが感染力を持っている期間は、およそ3週間程度とみられています。法律上の定めがない病気ですが、感染力の強い病気なので、登園前に医師の指示を仰ぐなど、安心して登園できるようにしましょう。また、登園時にマスクをさせるなど、他の子に感染させない工夫も欠かせません。
RSウイルスへの感染を繰り返さないために
- RSウイルスの感染経路は飛沫感染と接触感染
- 身のまわりの物を消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムでよく消毒する
- 自分自身もマスクの着用や手洗い・うがいをこまめに行う
RSウイルスの予防接種はありません。感染を防ぐ注射薬としてモノクローナル抗体製剤(パリビズマブ)がありますが、これは未熟児や慢性肺疾患児、免疫不全、さらに先天性心疾患児を除き、健康保険の適用外の治療薬です。このため、日ごろから予防を心がけることが、いちばんの再感染予防となります。
まとめ:子供の場合重症化するリスクもあるため、感染予防が大切です
- RSウイルスは、大人が感染しても軽い風邪程度の症状でおさまることが多いが、子供の場合は重症化する恐れがある
- 持病を持っている・いないにかかわらず、手洗いやマスクといった感染予防を行う
- 特に、2歳までの乳幼児にはしっかりと予防策を講じる
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
RSウイルスは、子供における気道感染症の病原体の中で最も多いもののひとつで、かつ、子供で重症化しやすい(肺炎などになりやすい)ウイルスでもあります。他の風邪と比較して特別な症状があるわけではないので、子供の風邪でやけに調子が悪そうだと感じたら、必ず病院へかかるようにしましょう。治療は対症療法が主体になりますが、場合によっては入院が必要となりますので注意が必要です。