次亜塩素酸水を使うのはどんなとき?人体への影響は?

医療機関などで使われる消毒薬のひとつに次亜塩素酸水があります。「塩素」と聞くと怖いイメージがありますが、日常的に使っても問題ないのでしょうか。この記事では、次亜塩素酸水の特徴とともに、よく似た名前の次亜塩素酸ナトリウムとの違いを解説します。

次亜塩素酸水とは

  • 次亜塩素酸水とは、塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を電気分解することで得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液
  • 合成界面活性剤などの化学合成物質を使っていないため、人体への影響はなく、万が一目や口に入っても安全
  • 手術時や介助時の手指消毒、医療器具の洗浄・消毒、食品加工や関連機器の消毒などに使われる
  • アルコール(手指などの消毒)やポピドンヨード(うがい薬)では殺菌できないボツリヌス菌、ウェルシュ菌、破傷風菌などの強力な菌や、ノロウイルスなどの感染力が強い菌にも殺菌効果を発揮する

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いは?

次亜塩素酸水

  • 次亜塩素酸が主成分
  • pH5.0~6.5(弱酸性)
  • 原液のままで使用できる
  • 基本的に無臭だが、反応時に塩素臭がする
  • 刺激性・毒性はない
  • 人体に使っても害はほとんどない

次亜塩素酸ナトリウム

  • 次亜塩素酸イオンが主成分
  • pH12以上(強アルカリ性)
  • 使用用途により、100~10000倍に薄める
  • 強烈な塩素臭がある
  • 刺激性があり、酸と混ぜると有毒ガスが発生
  • 皮膚に付着するとケロイド症状を引き起こす

次亜塩素酸水の使い方は?

ハンディスプレー

  • 外出時にも手軽に持ち運びできるため、いつでも除菌・消臭できる
  • 50ppm程度にすると、口腔ケア・消臭・ウイルス対策などに利用できる

家庭用スプレー

  • 調理器具の除菌、洗濯機やお風呂場のカビ対策、トイレの除菌・消臭、生ゴミや汚物などの除菌・消臭ができる
  • 原液(400ppm)はあらゆる家具や空間の除菌・消臭のほか、ウイルス対策に利用できる
  • 100ppm程度にすると、焼き肉、トイレ、タバコ、寝室などの消臭に利用できる
  • 200ppm程度にすると、キッチンや台所周り、その他の除菌・消毒に利用できる

噴霧器・超音波加湿器に入れる

  • 乾燥した室内を加湿・消臭・除菌できる
  • 50ppm程度にすると、手軽に室内を除菌・消臭できる

拭き掃除

  • 床や家具、子どものおもちゃなど、どこにでも使える
  • 原液(400ppm)なら、汚物処理や処理後の除菌に使いやすい
  • 50ppm程度にすると、赤ちゃんが口に入れてしまうようなおもちゃ、ペットのエサ容器の掃除に利用できる
  • 200ppm程度にすると、ゴミ箱やエアコンの除菌・消臭に利用できる

厚生労働省の基準では、次亜塩素酸水は80ppmまでであれば確実に安全に使用できるとされています。したがって、口腔内の衛生や空間消臭など、体内に直接入る部分に使うのであれば、この濃度までの次亜塩素酸水を使うとよいでしょう。

ただし、感染症の吐瀉物・排泄物などの汚物処理に使う場合や、お風呂場のカビ取り、トイレの便器内清掃などは、確実に菌を除菌・滅菌したいため、原液(400ppm)をたっぷり使うのがおすすめです。

次亜塩素酸水を使うときの注意点は?

  • 除菌する前に汚れを落とす(特に油汚れ)
  • 清潔な掃除道具を使う
  • 有機物の多い場所や食材は、必要に応じて次亜塩素酸水の濃度を調整したり、流水にしたりする
  • つけ置き洗いの際は、撹拌して微生物と次亜塩素酸水が直接触れるようにする
  • 余った次亜塩素酸水は冷暗所で保管する
  • 時間が経過すると濃度が低下するので、早めに(3カ月以内が目安)使い切る
  • 他の薬品や洗剤と混ぜて使用しない

まとめ:次亜塩素酸水は安全で強力な消毒薬ですが、長期保管には向いていません

  • 次亜塩素酸水は人体への影響がなく、80ppm以下なら口腔内や食品衛生にも使えるくらい安全性の高い消毒液
  • 400ppmの原液は、ノロウイルスなどの強い感染性を持つウイルスの除菌などにも使える
  • 時間経過で濃度が下がると殺菌力もなくなるため、長期保存には向かない
  • 余った場合は冷暗所で保管し、早めに使い切る

医師から薬剤師の方々へコメント

山本 康博 先生
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生

次亜塩素酸を使うのはノロウイルスが発生したときです。ノロウイルスは非常に感染力が強く、嘔吐物の周囲には広範囲にわたってウイルスが撒き散らされます。それが別の人の手について、その手で食事などを取ると、ほかの人に感染します。

除菌はアルコールでは不十分です。薬局で次亜塩素酸水を購入し、感染が拡大しないようにしましょう。整腸剤をもらいに来る患者さんに説明し、次亜塩素酸水で除菌していただくと、さらなる感染を未然に防ぐことができると思います。

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