「食後」に飲む薬が多いのはどうして?

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

「食後に薬をの飲むのはいいけれど、かえって薬の効果を弱めるのでは…」と不安に思う方は少なくありません。この記事では、多くの薬が食後に飲むよう指示している理由とともに、食事を抜いてしまった場合の飲み方をご紹介します。

食後の服用を指定する薬が多い理由は?

  • 胃に食べ物がある状態で薬を服用することで、薬の成分が胃壁に触れにくくなる
  • 胃が内容物を送り出そうとする働きが活発になるため、より早く吸収される
  • 食事と食事の間隔が6~8時間と比較的均等にあくため、薬の血中濃度を維持しやすくなる
  • 食事のタイミングに合わせることで、飲み忘れ防止を期待する薬もある

胃が空っぽの状態で飲むと薬の成分が直接胃壁に触れてしまうため、かえって胃を荒らしてしまうことがあります。また、空腹時に飲むと吸収の仕方が異なるため、食後に服用したときと比べて薬の効き目が変わってしまうこともあります。

食後に薬を飲むタイミングは?

  • 食後とは、食事を終えてから30分以内のこと
  • 食後に服用すると、薬の効果を適切に吸収するとともに、薬の成分から胃を守ることができる

食事を抜いてしまったら?

  • 急用で食事を取りそこねた場合や、普段から朝ごはんを食べない場合、軽食(クッキー、クラッカーなど)を食べてから服用する
  • 特に、鎮痛薬は空腹状態で飲むと胃に影響を及ぼしやすいため、軽く食べてから服用したほうがよい

胃を守るために、牛乳で服用してもいい?

  • 便秘薬や不整脈の薬など、牛乳で薬を飲むと薬の効果に影響を及ぼすものがある
  • 薬を服用するときは、必ず水やお白湯で飲む

そのほか、お茶や紅茶に含まれるタンニンは貧血の治療で使われる鉄剤の効果を弱めますし、グレープフルーツジュースは血圧降下薬やアレルギー治療薬などの効き目を強めてしまうことがわかっています。

まとめ:薬は指示されたとおりに服用することが大切です

  • 食後に飲むよう指示される薬が多いのは、薬の成分の刺激から胃を守ったり、薬を適切に吸収するため
  • 食事を抜いたり、食事を抜くことが多い方は薬剤師に相談してもらう

医師から薬剤師の方々へコメント

山本 康博 先生
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生

実際に臨床の現場で最も注意が必要な薬剤として、血糖降下薬(特に最近はあまり使われませんが、SU剤やグリニドなどのインスリン分泌促進薬)があります。インスリン製剤に関しては、食事の摂取量に応じて打つ量を変えるよう必ず指示がありますが、内服薬に関しては説明不足となることがあるようです。

血糖降下作用の強い血糖降下薬を食前に内服したにもかかわらず、食事を摂らずにいると低血糖を引き起こし、場合によっては死に至る恐れもありますので、特に注意が必要です。

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