クラリス®︎は抗生物質の一種です。この記事では、クラリス®︎の働きや効果、起こりうる副作用について解説します。
クラリス®︎とは
- マクロライド系抗生物質のひとつ
- グラム陽性菌や一部の陰性菌、マイコプラズマ、クラミジアなどに有効
クラリス®︎はどんな病気に処方される?
- クラリス®︎には、200mgと50mgの錠剤、そしてドライシロップの3種類がある
- 200mgのクラリス®︎錠の適応と、50mgのクラリス®︎錠・ドライシロップの適応はやや異なる
200mg錠の場合
一般感染症
- 適応菌種
-
- クラリス®︎に感性のあるブドウ球菌属
- レンサ球菌属
- 肺炎球菌
- レジオネラ属
- カンピロバクター属
- クラミジア属
- マイコプラズマ属など
- 適応症
-
- 表在性皮膚感染症
- 深在性皮膚感染症
- リンパ管・リンパ節炎
- 慢性膿皮症
- 外傷・熱傷および手術創などの二次感染
- 肛門周囲膿瘍
- 咽頭・喉頭炎
- 扁桃炎
- 急性気管支炎
- 肺炎
- 肺膿瘍
- 慢性呼吸器病変の二次感染
- 尿道炎
- 子宮頸管炎
- 感染性腸炎
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
- 歯周組織炎など
マイコバクテリウム属
- 適応菌種
-
- クラリス®︎に感性のあるマイコバクテリウム属
- 適応症
-
- マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
ヘリコバクター・ピロリ
- 適応菌種
-
- クラリス®︎に感性のあるヘリコバクター・ピロリ
- ヘリコバクター・ピロリ感染性胃炎
- 適応症
-
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 胃MALTリンパ腫
- 特発性血小板減少性紫斑病
- 早期胃がんの内視鏡治療後の胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症
50mg錠、あるいはドライシロップの場合
一般感染症
- 適応菌種
-
- クラリス®︎に感性のあるブドウ球菌属
- レンサ球菌属
- 肺炎球菌
- レジオネラ属
- 百日咳菌
- カンピロバクター属
- クラミジア属
- マイコプラズマ属など
- 適応症
-
- 表在性皮膚感染症
- 深在性皮膚感染症
- リンパ管・リンパ節炎
- 慢性膿皮症
- 外傷・熱傷および手術創などの二次感染
- 咽頭・喉頭炎
- 扁桃炎
- 急性気管支炎
- 肺炎
- 肺膿瘍
- 慢性呼吸器病変の二次感染
- 感染性腸炎
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
- 猩紅熱
- 百日咳など
マイコバクテリウム属
- 適応菌種
-
- クラリス®︎に感性のあるマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス
- 適応症
-
- 後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症
子供の罹患者が多い猩紅熱や百日咳にも適応となっているため、子供でも安全に使用できます。
クラリス®︎服用時に起こる副作用は?
- クラリス®︎は、比較的副作用が少ない
- ときどき吐き気や胃痛・下痢などの消化器症状や、発疹・じんましんなどの皮膚症状が現れることがある
- 重い副作用はめったにないものの、アナフィラキシー・ショックや重い不整脈がみられることもある
重篤な副作用の一例
- アナフィラキシー・ショック
- 不整脈
- 肝機能障害
- 腎機能障害
まとめ:クラリス®︎は感染症に効果を発揮する抗生物質です
- クラリス®︎は、細菌感染に効果を発揮する抗生物質
- 比較的副作用の少ない薬だが、まれに消化器症状やアレルギー症状が出ることがある
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
クラリス®︎は副作用もあまり多くなく、広く効果を発揮して内服でも使いやすいこと、また繊毛の機能を改善するという報告などから、特に耳鼻科領域でとても頻用されています。実際に効果があることも確かに多いのですが、現在では頻用されすぎていることが災いして、クラリスの耐性菌が増加しており、効果が認められないケースも増えてきています。
明らかにウイルス性の上気道炎の時は処方しない、必要な症例に限って抗生物質を用いるなど、耐性菌を蔓延させない意識がとても大切です。また、頻度こそ少ないですがQT延長症候群などの不整脈を誘発する可能性があります。