花粉症の季節になると、くしゃみや鼻づまり、目のかゆみといった症状に悩まされる方が多くなります。ただ、花粉症の薬はたくさんあるため、自分に合う薬を選ぶのに困ってしまう方も多いです。この記事では、花粉症について簡単に解説したあと、選ぶときのポイントを解説します。
花粉症の症状が出る仕組み
- 花粉症とは、抗原に対して異常な免疫反応を起こしてしまうアレルギー疾患の一種
- スギやヒノキなど、その人にとって抗原となる花粉が鼻やのどの粘膜に付着すると、表面のマスト細胞(肥満細胞)にある抗体と反応する
- 花粉に反応した抗体がヒスタミンを放出すると、血管の透過性が上がって鼻水が出たり、末端神経が刺激されてくしゃみが出たりする
特定の花粉に抗原が反応してヒスタミンが放出されるメカニズムは、まだはっきりとわかっていません。ただ、一般的には、生活習慣など複数の要因が影響して症状を引き起こすのではないかと考えられています。
花粉症の症状を抑える成分
一般的な花粉症の薬に含まれている主な有効成分は、以下の3種類です。
抗アレルギー薬
- ヒスタミンの放出を抑制する成分が含まれている
- 効果が出るまで2~4時間程度かかる反面、比較的副作用が少なく、安全性も高い
ヒスタミン受容体拮抗薬(第1世代)
- ヒスタミンの働きを抑制することで、くしゃみや鼻水の症状を緩和する成分が含まれている
- 即効性に優れたものが多く、既に発症したアレルギー症状に効果を発揮する反面、副作用として眠気を伴いやすい
ヒスタミン受容体拮抗薬(第2世代)
- ヒスタミンの放出と作用を抑制して症状を緩和する
- ヒスタミン受容体拮抗薬(第1世代)と抗アレルギー薬を足したような効き目がある
- 眠気や口の渇きといった副作用が現れにくい
- もともとは処方薬のみだったが、近年、市販薬として販売されるようになった
花粉症の市販薬の選び方
- 抗アレルギー薬:症状がまだ出てきていない、もしくは軽症の場合に選択
- ヒスタミン受容体拮抗薬:既に症状が出ていてつらい場合に選択
ヒスタミン受容体拮抗薬を選択する場合、第1世代と第2世代のどちらを選ぶかによって、効き目の特徴や想定される副作用が異なります。症状の出方やライフスタイルに合わせて、適切なものを選んでもらうことが大切です。
ヒスタミン受容体拮抗薬(第1世代)の特徴
- 即効性にすぐれ、比較的効き目が強い反面、眠気などの副作用が現れやすい
- この薬が向いている方
-
- 今すぐ症状を抑えて楽になりたい方
- 朝や日中より夜や就寝前の方が薬を服用しやすい方
- 眠くなっても日常生活に支障が出ない方
ヒスタミン受容体拮抗薬(第2世代)の特徴
- 第1世代に比べ即効性はないものの、副作用が現れにくい
- この薬が向いている方
-
- 症状があまり重くない方
- 即効性はなくてもいいので、長時間緩やかに花粉症の症状を抑えたい方
- 車の運転や緻密な作業に携わるため、眠くなると困る方
- 朝や日中に服用して様子をみたい方
まとめ:ライフスタイルや症状に合った薬をお勧めしましょう
- 花粉症は、ヒスタミンの放出や働きを抑えることで症状を緩和できる
- 抗アレルギー薬はヒスタミンの放出を抑える働きがある
- ヒスタミン受容体拮抗薬には第1世代と第2世代があり、どちらもヒスタミンの働きを抑える働きがある
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
花粉症はとてもありふれた疾患で、多くの方が抗ヒスタミン薬を服用しています。特に、効き目が強い薬は運転禁忌となっていますので必ず注意喚起しましょう。
抗ヒスタミン薬は神経伝達物質を阻害するため、眠気などの副作用が避けられません。点鼻薬や点眼薬などの併用によって、内服薬の量を減らすことも大切です。