ウイルス感染が原因で発症する夏風邪には特効薬がありません。夏風邪を少しでも早く、しっかりと治すには、どう対処すればよいのでしょうか。この記事では、夏風邪を引いたときの適切な過ごし方をご紹介します。
夏風邪の主な症状は?
- 水分や食事を飲み込めないほどの喉の強い痛み
- 腹痛や下痢、嘔吐などの消化器症状
- 食欲不振
- 夏バテ
- 発熱
夏風邪の原因は「アデノウイルス」や「エンテロウイルス」など、夏の高温多湿の環境で活性化するウイルスです。倦怠感や関節痛、頭痛、発熱が主な症状となる冬の風邪とは症状が異なります。
夏風邪を引いたときの過ごし方
発熱や消化器症状がみられる場合
- 下痢はウイルスを排出するための症状のため、発熱がみられても市販の解熱鎮痛薬や風邪薬は服用しない
- 1時間に1回のペースで水分補給しながら安静にして様子をみる
喉の痛みを感じた場合
- 喉の乾燥とウイルスの繁殖を防ぐために、ぬれマスクで喉をうるおす
- ウイルスの繁殖を防ぐため、マスクはこまめに交換して清潔な状態を保つ
- 15分に1回程度、2~3口ぐらい水分を摂り、常に喉の粘膜が潤った状態を保つ
ただし、あまりに腹痛や下痢、発熱がひどく、脱水症状や体力の消耗が心配される場合や、食事が難しいほど喉の痛みが強い場合は、ウイルスがかなり増殖していると考えられます。このような場合は、念のため病院で診てもらうのが無難です。
冷えから体を守ることも大切
- 冷房による冷えや乾燥、また外気温との差で自律神経の働きが乱れると免疫力が低下しやすくなる
- 熱中症予防のためにも冷房は必要だが、冷えすぎないようにする
- 夏の冷え対策
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- 冷房の温度設定は、外気温との差が少ない26~28度くらいにする
- お腹にタオルケットをかけて冷やさないようにする
- オフィスやデパートなど、自分で温度管理できない場所では、上着や羽織もので体温を調節する
夏風邪のときの食事のポイント
夏風邪による下痢や嘔吐がある場合
- 脱水症状の予防に必要な水分と塩分を十分に摂取できる食事が望ましい
- うどんやおかゆ、りんご、じゃがいも、白身魚など、消化に良いものを、普段の食事よりも柔らかく調理して食べる
- どうしても食欲がないときは、具を入れないみそ汁や野菜スープ、スポーツドリンクを飲む
発熱や喉の痛みがある場合
- 炎症を起こしている喉を刺激せず、飲みこみやすい食事が理想的
- うどん、おかゆ、卵、豆腐、大根、生姜、ゼリー、アイスクリーム、プリンなど、つるんとした食感や冷たいもの、喉の痛みを和らげる作用があるものがおすすめ
- 食欲や病状に合わせて、食べられそうなものを口にする
まとめ:夏風邪を治すには、冷えと食事に注意して十分な休養を摂ることが大切です
- 暑い時期に消化器の不調や発熱、喉の強い痛みを感じる場合、夏風邪を引いている可能性が高い
- 夏風邪に特効薬はないため、十分な水分補給と症状、体調に合わせた食事を摂りながら様子をみる
- あまりに体力の消耗が激しい場合や喉の痛みが強い場合は、早めに病院に行く
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
夏風邪だからと言って、通常の風邪と対処法が異なるわけではありません。ただ、1日中暑かったり、冷房を効かせすぎるあまり体が冷えてしまったりと、治りが遅くなる要素が多くあることも確かです。
これといった解決法があるわけではありませんが、とにかく脱水に注意することが大切です。水分と塩分を摂取できるよう、スポーツドリンクなどを活用しましょう。また、無理をしすぎない計画を立てて、疲れやすい状態をできるだけ避けることも、夏風邪予防には大切です。