暑さ指数(WBGT)は、熱中症を予防する上でとても参考になる情報です。この記事では、暑さ指数の見方やチェック方法などを解説します。
暑さ指数(WBGT)とは
- 暑さ指数とは、熱中症予防のためにアメリカで提案された指標
- WBGT(湿球黒球温度: Wet Bulb Globe Temperature)とも呼ばれる
- 労働環境や運動環境において、熱中症の危険性を判断したり、その後の行動の方向性を定めるために使われる
暑さ指数は人間の体と外気との熱のやり取りに注目した指標で、以下の3項目から算出されます。
- 湿度
- 日射・輻射(ふくしゃ)
- 気温
暑さ指数の単位は摂氏(℃)で示されます。温度と同じ単位ですが、その値は温度とは異なります。数値が大きくなるほど、熱中症の危険性が高くなります。
暑さ指数の見方は?
- 25℃を超える
-
- 注意レベル
- 25~28℃
-
- 激しい運動や重労働時に注意が必要となる
- 暑さ指数28℃以上
-
- すべての生活活動で熱中症が起こるリスクがある
- 31℃以上
-
- 高齢者は安静にしていても熱中症になる恐れがある
外で運動する場合の注意点
- 暑さ指数だけではなく、気温にも注意が必要
- たとえ暑さ指数が低くても、運動の負荷によっては熱中症の可能性がある
たとえば、気温が24℃未満、暑さ指数21℃未満であればほぼ安全ですが、マラソンなどの場合は熱中症が発生する可能性があります。また、気温35℃以上、暑さ指数31℃以上になっている場合、運動は中止になる可能性があります。
暑さ指数はどこでチェックできる?
- 暑さ指数は環境省のサイトで公開されている
- 暑さ指数を知りたい地点を選択するとピンポイントの情報を入手できる
暑さ指数が基準値を超えそうなときの対処法は?
- 暑さ指数が基準値を超えると、熱中症を引き起こす恐れが高くなる
- 日頃から十分な睡眠をとって体調を整えたり、喉が乾く前から水分補給を心がけたりする
- 氷や冷たいおしぼり、シャワーなど、体を冷やすことのできるものを準備しておく
- 可能であれば、室内や木陰、冷房のきいた場所など、暑さ指数が低い場所に移動する
- 活動時間を短くする
- 通気性の良い服を着る
もし熱中症になったら、なるべく早く対応することが大切です。熱中症と思われる体調不良がみられたら、涼しい環境で体を冷やしましょう。意識がない場合や自力で水が飲めない場合や症状が良くならない場合は、すみやかに医療機関へ搬送してください。
まとめ:熱中症を重症化させないために暑さ指数も利用しながら、きちんと対策をとりましょう
- 暑さ指数は、熱中症を予防することを目的にアメリカで提案された指標
- 日常生活だけでなく、スポーツや労働を安全に行うための基準としても用いられる
- 暑さ指数を参考にすれば、熱中症を予防しやすくなる
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
近年の日本の猛暑は、高温に加えて湿度も高いのが特徴です。このため、温度だけではなく、湿度も加味した暑さ指数では40度を超える砂漠よりも高い数字が出ることもあるようです。
最近の日本の夏は体に堪える…と思ったら、世界的にみてもかなり厳しい環境であるようです。このことを踏まえた上で、無理をしないように過ごしましょう。また、身体的な抵抗力の弱い高齢の方や、自分でつらさを訴えるのが難しい子供の異変には、特に注意を配るよう伝えてください。