スイッチOTC医薬品は、もともと医師の処方箋がないと入手できなかった薬です。薬局やドラッグストアでも購入できるようにしたことで、高騰する医療費の抑制や医師の負担軽減を目指しています。この記事では、主なスイッチOTC医薬品を紹介するとともに、使用上の注意点を紹介します。
スイッチOTC医薬品とは
- 「OTC」は、英語の over-the-counter(カウンター越し)の略
- 医師の診断がなくとも、お店のカウンター越しに購入できる一般用医薬品
- 医療用医薬品に使われていた成分が、有効性・安全性に問題がないと判断されてOTC医薬品に切り替わった
- これまで「医薬品」や「大衆薬」と呼ばれていたが、最近では国際的表現の「OTC医薬品」という名称が使われている
スイッチOTC医薬品が生まれた背景として、セルフメディケーションを推進する国の方針があります。医療費の高騰や医師不足による問題を解決するための第一歩として、軽度の体調不良は市販の医薬品を有効活用して改善することが推進されています。
- スイッチOTC医薬品になるための要件
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- 長期間における使用実績がある
- 副作用が比較的少なく、他の薬剤との相互作用でも重篤な副作用がない
- 需要がある
ただし、スイッチOTC医薬品になったものでも、リスクが高いものは「要指導医薬品」となり、薬剤師から対面で指導を受けたり、文書での情報提供を受けたりしないと購入できないものもあります。
スイッチOTC医薬品になった薬
- スイッチOTC医薬品として認可されている医薬品は86成分、1800品目(2020年5月14日時点)
- 最新情報は厚生労働省のWEBサイトで確認できる
スイッチOTC医薬品の一例
- ガスター®︎10(胃酸分泌抑制薬)
- ロキソニン®︎S(解熱鎮痛薬)
- トランシーノ®︎薬用ホワイトニングエッセンスなどの内服薬(肝斑治療薬)
- ボルタレン®︎AC/ローション/テープ(消炎鎮痛薬)
- アラセナ®︎S(抗ウイルス薬)
スイッチOTC医薬品を利用する際の注意点は?
- 成分は「医療用医薬品」と同じ。よって、薬の副作用やほかの薬との飲み合わせの注意点などを丁寧に伝える
- 現時点でほかに服用している薬がないかや持病やアレルギーなどがないかも尋ねて、思わぬ副作用を招かないよう配慮する
- 2~3日飲んでも症状が改善しない場合は医療機関を受診するよう促す
まとめ:丁寧な説明と服用中の薬の有無の確認を心がけましょう
- スイッチOTC医薬品は、医療用医薬品が薬局やドラッグストアでも購入できるように転換された薬
- 病院に行かなくても症状を緩和できるように導入されたものだが、副作用や飲み合わせに気をつけたほうがよいものもある
- 購入時に丁寧に説明するとともに、用法・用量を守って正しく利用してもらう
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
OTC医薬品として指定されているものは、豊富な使用例がある薬が多いです。多くの人が買い求める医薬品のため、気軽に利用できる反面、本来病院で処方される薬剤であることを知らずに買い求める方も多く、思わぬ副作用や相互作用を引き起こす可能性がゼロではありません。購入する方には、一言説明を添えるようにしましょう。特に、ロキソニン®には気をつけてください。