どっと疲れる「バリウム検査」、どんなことがわかる?

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

健康診断はいいけれど、バリウムを飲まなきゃいけないのがつらい、とこぼす方は多いです。バリウム検査そのものに痛みはありませんが、つらい・できれば受けたくない検査と言われることもあります。この記事では、バリウム検査を受ける目的とともに、うまく乗り切るヒントをご紹介します。

バリウム検査の目的

  • バリウム検査の目的は、食道・胃・十二指腸に病変があるかどうかチェックすること
  • 発泡剤を飲んで胃を空気で膨らませた後、X線を反射するバリウムを飲んで口から食道・胃・十二指腸へと流れていく様子を確認する
  • 体を回転させてバリウムを粘膜に付着させ、消化管に狭くなっている部分や粘膜に凸凹ができていないかどうかも確認する

検査の流れ

  1. 空気で胃を膨らませるため、発泡剤を飲む
  2. X線を反射するバリウムを飲む
  3. 胃にX線を当てながら、撮影したい場所にうまくバリウムが付着するよう、体を上下左右に動かしながら7~8枚撮影する
  4. 撮影されたフィルムは、2人以上の医師によって読影される

バリウム検査のメリット・デメリット

メリット

  • バリウム検査で胃がんの有無をチェックでき、死亡率が減少することが判明している
  • 検査の感度(がんを正確に診断できるかどうか)は70~80%
  • 胃がんだけでなく胃潰瘍やポリープも発見できる

いちばんのメリットは、胃がんや胃潰瘍・ポリープなどの疾患の早期発見・早期治療につながることです。特に胃がんについては70~80%と高い感度があり、胃がんによる死亡率減少に寄与していることがわかっています。

デメリット

  • X線による放射線被ばくの影響がゼロとは言いきれない
  • バリウムの誤飲や便秘などの偶発症が起こることもある

バリウム検査ではX線による放射線被ばくがあるため、妊娠中の方は受けられません(バリウム検査で浴びるX線量は自然界で浴びるものと同じくらいなので、妊娠していない方への健康被害はほとんどないと言われています)。

また、バリウムの誤飲(気管支に入ってしまうなど)や、バリウムがうまく排出されなかったことで症状があらわれることがあります。特に高齢者は誤飲が多いため、落ち着いてゆっくり飲むことが重要です。また、検査後にもらう下剤を服用するとともに、水分をたくさん摂るように心がければ、バリウムが腸内にとどまってしまう状態を防ぐことができます。

バリウム検査を乗り切るコツ

発泡剤・バリウムが飲みにくいとき

  • 発泡剤は、舌先から少しずつ口内に入れるのではなく、舌の奥に全ての発泡剤を入れて一気に飲む
  • バリウムは少しずつではなく、夏場に水を飲むときのように、ゴクゴク飲んでしまう

発泡剤を舌先に置いてしまうと、舌先でブクブクと気泡が出てきてしまうため、うまく飲み込めなくなることが多いです。また、バリウムは粘度が高いので少しずつ飲むのは厳しいと思います。

ゲップを我慢するのがつらい

  • つばを飲み込む
  • 顔をやや下向きにする

ゲップをすると胃を膨らませている空気が抜けてしまい、発泡剤を飲んだ意味がなくなります。

検査が終わったあとの便秘への不安

  • バリウムの排出を促すとともに、便秘を防ぐために、検査後に渡される下剤を服用して水をたくさん飲む
  • 野菜など、繊維質の多い食品を食べるとよい

バリウムはうまく排出できずに溜まってしまうと、消化管内で固まってしまう恐れがあります。下剤の服用と水分摂取は忘れないようにしましょう。また、バリウムが全て排出されるまで、アルコールは控えてください

まとめ:バリウム検査は胃がんや胃潰瘍、ポリープなどの早期発見が目的です

  • バリウム検査の一番の目的は、胃がんの早期発見。高い確率(約70~80%)でがんを発見できること
  • 発泡剤やバリウムは、コツをつかめばうまく乗り切ることができる
  • 検査後、便秘にならないよう気をつける

医師から薬剤師の方々へコメント

山本 康博 先生
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生

バリウム検査は非常に古典的な検査です。現在では上部消化管内視鏡を受ける方も増えていますが、依然として大勢の方に手早く検査ができるため、健康診断で有用な検査です。

バリウム検査にはいくつかの試練(発泡剤、バリウム、そのあとの便秘)があり、皆さん大変だったと口にされることが多いです。特にバリウムはとんでもない量と粘度で、飲むのが一番の試練と言われることもあります。不思議な味がすることもあり、味わってしまうとつらくなりがちです。この記事にあるような対処法のほか、「ストローで喉の奥にごくごく飲む」という方法もおすすめです。

そうは言っても、やはりつらい検査であることは変わりありません。もし「今日はバリウムで…」とおっしゃる方がいらしたら「大変でしたね」と言って差し上げるのが一番かもしれません。