季節が移り変わる時期は日中と夜の寒暖差が激しくなるため、多くの人が風邪を引きやすい時期でもあります。この記事では、季節の変わり目に引いてしまう風邪の特徴をご紹介します。
風邪の原因は季節ごとに違うの?
- 風邪の原因の80~90%はウイルス感染
- 細菌感染やアレルギー、寒さなども原因となる
- 夏は湿気に強いアデノウイルスやエンテロウイルス、コクサッキーウイルスが、冬には乾燥に強いインフルエンザウイルスやライノウイルスなどが流行しやすい
- 春と秋には、ライノウイルスやその前後の季節のウイルスが流行しやすい
春の風邪の特徴
- ライノウイルス、RSウイルスが原因となることが多い
- 大人の場合、1週間程度で軽快することがほとんど
ライノウイルス
- 潜伏期間は1~3日ほど
- 主な症状は鼻水、鼻づまり、のどの痛み、頭痛、くしゃみなど
RSウイルス
- 潜伏期間は2~8日ほど
- 主な症状は鼻水、発熱、軽い咳など
冬の終わりから春先にかけては、日中の気温は高くても夕方から急激に冷え込んだり、また日によって暖かい日と寒い日が交互に続いたりするため、気温の変化に適応できず体調を崩しやすい時期です。
夏の風邪の特徴
- エンテロウイルスとアデノウイルスが原因となることが多い
エンテロウイルス
- 潜伏期間はおよそ3~7日間
- 子供の夏風邪の原因となる手足口病やヘルパンギーナを起こすウイルス
- 乳幼児が感染することが多いが、大人でも免疫をもっていなければ、飛沫や糞口などで感染する
- 主な症状は咳、喉の痛み、発熱、筋肉痛、結膜炎、発疹など
アデノウイルス
- プール熱(咽頭結膜熱)やはやり目(流行性角結膜炎)を引き起こすウイルス
- プール熱の症状は発熱、のどの痛み、頭痛、腹痛、下痢、リンパ節の腫れ、結膜炎など
- プール熱の発熱は、はじめに39℃を超える高熱が出て、その後37~38℃前後の熱をいったりきたりする
- はやり目の症状は、目の充血や目やになど
秋の風邪の特徴
- 春と同じく、ライノウイルスやRSウイルスが原因となることが多い
- 基本的に春先の風邪の症状とほぼ同じ。ただ、空気が乾燥するため特に喉の症状(痛み、咳)が強く出る
- 秋の終わりになると、インフルエンザが流行することも
夏の終わりから秋にかけては、急に肌寒くなることや、日中の寒暖差が激しいことなどから、春先同様に風邪を引きやすい時期です。また、高熱に見舞われることは少ないものの、いつまでも咳が止まらないなど、それほど強くない症状が長引きやすいのも秋風邪の特徴のひとつです。
冬の風邪の特徴
- ライノウイルスやRSウイルス、インフルエンザウイルスが主な原因
インフルエンザウイルス
- 毎年11月~3月の寒い時期を中心に急激に流行する
- ほかの風邪と比べて症状は強く、感染から1~2日後に38~39℃の高熱、悪寒、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などがあらわれる
- 熱は3~4日ほど経った頃から下がりはじめ、10日以内に回復することが多い
- 小さな子供や高齢者など、抵抗力の弱い方は肺炎を併発して重症化する恐れがある
まとめ:季節の変わり目に風邪を引かないよう注意しましょう
- ひとくちに風邪といっても、季節によって流行しやすいウイルスは異なる
- 日頃の手洗い・うがいや規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事が、季節を問わず予防のカギとなる
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
インフルエンザに代表されるように、ウイルス感染には季節性がありますが、基本的には体調を整える、マスクをするといった一般的な対処以外には良い手立てはありません。というのも、インフルエンザを含め、風邪症状を呈するウイルス感染に対しては特効薬はないからです。
しかし、エンテロウイルスやアデノウイルスなど、伝染性のある感染症を起こすウイルスが現在どれくらい広まっているかには注意を払う必要があります。エンテロウイルスによる手足口病や、アデノウイルスによる咽頭結膜熱や流行性耳下腺炎などは周囲へ伝染するため、特別な対応が必要になります。