寒い季節になると流行するのがインフルエンザ。感染・発症するとひどい悪寒や高熱といった症状に悩まされます。インフルエンザの治療薬として、タミフル®をはじめとするさまざまな薬がありますが、抗生物質でも治るのでしょうか。
抗生物質はインフルエンザに効く?
- インフルエンザの予防・治療に、抗生物質は効かない
- インフルエンザはウイルスが原因の病気。抗生物質は細菌に効果を発揮する薬のため、ウイルス性疾患には効果がない
インフルエンザのときに飲む薬は?
- インフルエンザでは、必要に応じて抗インフルエンザ薬を服用する
- 抗インフルエンザ薬とは
- 体内での急激なインフルエンザウイルスの増殖を食い止める働きを持つ薬
- カプセルや粉薬のタミフル®、専用の吸入器で吸入するリレンザ®、イナビル®、錠剤のゾフルーザ®などがある
- 症状が出てから48時間以内に服用すると効果を発揮する
そのほか、十分な水分補給と安静にして休息をとることも治療には欠かせません。特に、インフルエンザの抗体検査は、感染後、12~24時間経過してからでないと正しく判定できないため、体調が思わしくないときは無理に病院へ行こうとせず、自宅療養につとめてください。
まとめ:インフルエンザのとき、抗生物質を飲んでも効果はありません
- インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染で発症する病気のため、抗生物質を服用しても効果はない
- インフルエンザの症状改善に効果があるのは、処方薬の抗インフルエンザウイルス薬のみ
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症に抗生物質を処方しても、利益がないばかりか、逆に予期せぬ副作用によるデメリットを被る可能性があります。抗生物質自体によるさまざまな副作用(腎障害、アレルギー、皮疹など)や、腸内細菌を含む細菌叢に対するダメージによる下痢などです。したがって、インフルエンザや風邪のシーズンに、明らかに高熱や関節痛といったインフルエンザのような症状がみられる患者さんに抗生物質は処方すべきではありません。
ただし、特例として処方しても良い場合があります。免疫力が低下している方や、肺に基礎疾患がある方の場合、インフルエンザに続発して細菌による肺炎を発症する可能性があるため、予防的に抗生物質を併用することも許容されると思います。しかし、あくまで特例ですので、一般的にはインフルエンザに抗生物質はまったく必要ありません。