メチコバール®︎は、体内で不足したビタミンB12を補う薬です。この記事では、メチコバール®︎の効果や副作用、用法用量の注意点などを解説します。
メチコバール®︎ってどんな薬?
- 体内で不足しているビタミンB12を補う薬
- 有効成分メコバラミンが、ビタミンB12に分類される
- 通常のビタミンB12と比べて末梢性神経障害に対する有効性が高く、安全性も高いのが特徴
- 薬理作用は強くないため、効果が大きいとは言いがたい
メチコバール®︎が処方される病気は?
- 末梢性神経障害の治療に使われる
- 神経障害の可能性(糖尿病による神経の痛み、帯状疱疹の神経痛、味覚・嗅覚障害、しびれなど)が疑われる場合にも処方される
ビタミンB12は細胞の発育の維持、造血作用、神経の機能維持といった働きをしています。そのため、ビタミンB12が不足すると、貧血、手足のしびれや痛みといった神経障害を引き起こします。
メチコバール®︎の副作用は?
- メチコバール®︎を服用後、副作用があらわれることはめったにない
- ビタミンB12は水溶性ビタミンのため、過剰摂取してもすぐに排出される
- ただし、ごくまれに胃の不快感や吐き気を感じることがある
メチコバール®︎服用時の注意点は?
- 光に当たるとビタミンB12の含有量が低下するため、暗所で湿気が少ないところに保管する
- ビタミンB12不足による手足のしびれや神経痛に効果がある薬のため、それ以外の原因(骨の変形、神経圧迫、筋肉の酷使、血行不良、薬物性障害など)の場合は効果が期待できない
まとめ:メチコバール®︎はビタミンB12不足による神経障害に処方されます
- メチコバール®︎は副作用がほとんどあらわれない、安全性の高い薬
- ただし、強い効果を期待できる薬ではない
- ビタミンB12不足による神経障害に効果が期待されるが、原因がそれ以外の場合には効果を期待できない
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
臨床的には巨赤芽球貧血など、ビタミンB12不足が原因の疾患の治療や、ペメトレキセド投与前の神経障害予防のために投与されることが多いです。そのほか、しびれなどの症状があるときに処方されることもありますが、正直なところある程度気休めのような意味合いが強い薬だと思います。
メチコバールの末梢神経障害に対する効果に関してはさまざまな前向き試験が行われており、いくつかは有望な結果を示してはいますが、全体としては積極的に内服を勧めるものではありません。漫然とメチコバールが処方されている患者さんは多く、効果が乏しいようであれば内服の終了も検討されるので、一言患者さんにお伝えいただくと不要な処方が避けられてよいかもしれません。