夏になると、熱中症に関するニュースが増えてきます。この記事では、熱中症になりやすい環境や熱中症になりやすい方、また、熱中症から身を守る方法を紹介します。
熱中症に気をつけたほうがいい環境は?
- 一般的に、最高気温が25度を超えると熱中症にかかる方が出てくる
- 30度を超えると、熱中症が原因で亡くなる方が増える
- 気温が低くても、湿度が高かったり無風だったりすると汗が蒸発しないため、体内に熱がこもって熱中症のリスクが高くなる。そのため、25度以下でも、湿度が80%以上の場合は注意が必要
- 直射日光を浴びるのはもちろん、直射日光の地面からの照り返しも熱中症のリスクがある
熱中症になりやすい方は?
子供
- 乳幼児や小児は、体温調節機能(特に発汗機能)があまり発達していないため、体温が上がりやすい
- 自分で服を脱いだり、水分を補給したりすることも難しい
高齢者
- 高齢者は体温調節機能が低下しているため、熱が体の外へ逃げにくくなっている
- のどの渇きや暑さも感じにくくなっているため、熱中症になりやすい
体調不良の方
- 風邪や疲労など、体調がすぐれないときは体温調節機能が低下している
- 熱中症はその日の体調に左右されるため、寝不足の日や食欲がない日などは発症しやすい
熱中症を予防するには?
水分補給
- 暑い日には思っている以上に汗をかいているため、のどが渇いたと感じる前からこまめに水分補給をする
- 汗をかくと水分と一緒にビタミンやミネラルも失われるため、ミネラルも一緒に補給できる飲み物(麦茶など)がおすすめ
- アルコール類、緑茶やコーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物は利尿作用があるので控える
環境を整える
- 外出時は日傘や帽子などで身を守る
- 家の中で過ごす場合も、直射日光にあたらないようカーテンなどで遮ったり、エアコンなどで室温や湿度を調整したりする
- 通気性や吸収性のいい麻や綿の衣類を身につけると、体外へ熱が逃げやすい
- 通気性のいい下着を着ると、衣服と体の間の湿度を下げるとともに、かいた汗が蒸発しやすくなって体温調節が促される
体力をつける
- 普段からバランスのよい食事や睡眠時間をしっかりと取り、丈夫な体づくりを心がける
- 寝具を吸水性や通気性のよいものにしたり、扇風機やエアコンで睡眠環境を整えたりする
熱中症と思われる症状が出てきたら
涼しい環境に移動させて冷却する
- 風通しのいい日陰や、クーラーの効いた室内などに移動させる
- 衣類を脱がせて体内の熱を外に逃がす
- 可能なら、氷のうでわきの下や首元、太ももの付け根などを冷やして体温を下げる(できるだけ早く冷やす)
水分と塩分を補給する
- 経口補水液やスポーツ飲料などで、水分と一緒に塩分も補給する
- ただし、意識障害がある場合や嘔吐がみられる場合は、無理に飲ませず病院へ連れて行く
- 熱中症の主な症状
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- 筋肉痛
- 筋肉のけいれん(こむら返り)
- めまい
- 顔のほてり
- 吐き気
- まっすぐに歩けない
- 呼びかけに反応しない など
まとめ:熱中症予防には、こまめな水分補給が効果的です
- 衣類の調節やこまめな水分補給を心がけ、熱中症を予防する
- 熱中症と思われる症状がみられたら、涼しい場所へ移動して冷却するなどして大事に至らないようにする
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
喉が渇いたと思ったときにには、すでに脱水になっています。特に夏場は水分が失われるのが早いですから、喉が渇く前に水分補給を心がけることが大切です。
熱中症の初期症状は、なんとなく調子が悪いところから始まり、次第にめまいや吐き気が出てきます。汗をかくような状況で、少し調子が悪いなと感じたら、ためらわずに休息をとり、涼しい場所へ移動して水分・塩分補給を行いましょう。
また、小さい子供は自分の体調不良に気づきにくいので、保護者の方に子供の様子をこまめにチェックするよう伝えてください。そして、高齢者は暑さに気づきにくく、屋内での熱中症になりやすいです。がまんせずにクーラーを使うようお伝えください。