ノロウイルスは、激しい嘔吐や下痢などを発症させる、非常に感染力の強いウイルス性感染症です。この記事では、ノロウイルスの感染拡大を防ぐ洗濯のコツを紹介します。
洗濯のコツ1:まずは水で予洗いを
- 嘔吐物や便に含まれるたんぱく質は50℃以上の温度で固まる性質があるため、まずは水で嘔吐物や便を洗い流す
- 時間が経つと嘔吐物・便が固まるため、汚れた衣服の予洗いはできるだけ早く行う
予洗いするときは、使い捨てのマスクと手袋を着用します。お風呂場や流し台の排水溝のあたりで水道水で洗い流すか、水を張ったバケツなどに汚れた服を入れて振り洗いしましょう。
洗濯のコツ2:洗濯機に入れる前に消毒する
消毒方法
- 85℃以上の熱湯に1分間以上漬けておく
- 濃度200ppm(0.02%)以上の塩素系(次亜塩素酸ナトリウム)消毒液に、30~60分漬けておく
消毒を行わずにほかの服と一緒に洗濯すると、他の服や洗濯槽にウイルスが付着して感染源となる恐れがあります。
消毒作業の後、洗濯機での洗濯を終えたら、雑菌や残ったウイルスの繁殖を防ぐため、しっかり乾燥させましょう。天気が良い日なら天日干しに、雨や高温多湿のときは風通しの良い室内か、乾燥機を使うのがおすすめです。
色柄物の洋服を洗濯したい場合は?
- 次亜塩素酸ナトリウムには漂白作用があるため、次亜塩素酸ナトリウムで消毒すると色落ちする可能性がある
- 色柄物は次亜塩素酸ナトリウムではなく、85℃以上のお湯に漬け込む消毒方法を用いる
- 85℃以上のお湯でノロウイルスを消毒する方法
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- お風呂場で洗面器やバケツに沸騰したお湯を入れ、1分以上浸ける
- 鍋でお湯を沸騰させ、このなかに消毒したい服を入れて1分以上煮る
- バケツや鍋に入らない大きさのものは、スチームアイロンの蒸気を1分以上あてる
いずれの場合も、お湯の温度が85℃を下回ってしまうと消毒効果がなくなります。途中でお湯をつぎ足すなどして、温度を維持するよう注意してください。
まとめ:ノロウイルスがついた服は、水洗い・消毒・洗濯機の順で洗濯しましょう
- ノロウイルスは非常に感染力が強いため、嘔吐物・便が付着した服をそのまま洗濯機で洗うと感染拡大の原因となる
- ノロウイルスが付着した服はまず水で予洗いし、その後85℃以上のお湯または次亜塩素酸ナトリウムで消毒してから洗濯。その後、しっかり乾燥させる
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
ノロウイルスは非常に強い感染力があり、同居者に容易に感染します。その感染経路として以下のパターンがあります。
このため、散布されたウイルスの消毒および頻回の手の消毒が大切です。また、ノロウイルスはアルコール消毒では滅菌できません。必ず次亜塩素酸で消毒するよう伝えましょう。