微酸性電解水の効果的な使い方は?

微酸性電解水とは、文字通り電気分解によって作られる水溶液です。アルコールと同等の殺菌効果を持ちながら、誤って口に入っても人体に悪影響を及ぼしません。この記事では、微酸性電解水の使い方や注意点についてご紹介します。

微酸性電解水とは

  • 微酸性電解水は次亜塩素酸水のひとつで、より水に近い性質を持つ電解水
  • 洗浄後にすすぐ水として利用でき、高い除菌効果を発揮する
  • 水の使用量や作業の手間が削減できるほか、トリハロメタンを生成しにくいため、排水設備や器具・機器への影響を抑えられる

2002年に厚生労働省から食品添加物としての殺菌剤と指定されたこともあり、食材の洗浄にも使えるほど安全性が高いことでも知られています。低刺激のため手荒れなどの心配もほとんどなく、塩素臭も少ないことから、作業を行う人自身も安心して使うことができます。

微酸性電解水の効果は?

  • 細菌やウイルスに対して高い殺菌効果を発揮する
  • 次亜塩素酸によって細菌やウイルスなどの病原体の細胞膜・タンパク質・DNAなどを傷つけ、活動を停止させるとともに、遺伝情報も破壊する

細菌は単細胞生物ですから、細胞膜を破壊されると生息できません。ウイルスは細胞膜を持ちませんが、DNAなどの遺伝情報を傷つけられると、他の生物に寄生して増殖したり、活動できなくなったりします。

微酸性電解水の使い方は?

  • 気になる場所や臭いが気になる部分に直接噴霧する
  • 拭き取るのは、吹きつけてから15秒以上経ってからにする

そのほかの使い方

ベビー・ペット用品の除菌
  • 赤ちゃんやペットがよくいる場所や、触ったり口にしやすいものに適量を吹きつける
  • 自然乾燥させるかふき取る
包丁・まな板の除菌
  • 洗った後の包丁やまな板に、全体が十分に濡れる程度に吹きつける
  • ステンレスは自然乾燥で構わない
  • 鉄や鋼の包丁はさびることがあるため、水分をしっかりふき取る
冷蔵庫内の除菌
  • 冷蔵庫内に直接噴霧し、その後ふき取る
  • 特に庫内の奥や隅には菌が残りやすいため、すみずみまで吹きつける
  • 食品にかかっても安全性に問題ないので、入れたまま噴霧してよい
キッチンまわりの除菌
  • 汚れている場合は汚れを取り除く
  • 細菌やウイルスが発生しやすいコンロやシンクを中心に吹きつける
トイレの除菌・消臭
  • トイレの便器や壁に直接吹きつける
  • 便器はそのままでよいが、壁は水滴をふき取る
浴室の除菌
  • 浴室の排水溝や壁、浴槽に噴霧するとカビの発生を予防できる
  • 既に発生したカビは除去できない
靴の除菌・消臭
  • 靴の中全体がしっとりする程度に直接噴霧し、自然乾燥またはドライヤーなどでよく乾かす
  • 濡れたまま放置していると水分が菌が繁殖する可能性もあるため、自然乾燥の場合は外気に当てるなどしてよく乾かす
リビングの除菌・消臭
  • ソファやクッションなど、手軽に洗えないものに対しても吹きつけてよい
テーブルの除菌
  • テーブルに直接噴霧して、15秒以上経ってから乾いたふきんやキッチンペーパーでふき取る
  • 水が染み込みやすい生の白木や桐などの木材には使えない
車内の除菌・消臭
  • ハンドルや座席シート、荷台などどこでも直接吹きつける
  • においがこもりやすい後部座席などにも使える

微酸性電解水を使うときの注意点

  • ほかの用途には使わない
  • ほかの薬品や洗剤と混ぜない
  • 消毒したい物の汚れを落としてから使う
  • 酸性度が弱いため、常に新しい微酸性電解水を流しながら使う
  • 高温になる場所、直射日光の当たる場所を避け、密閉容器で常温または冷蔵庫で保存する
  • 他の容器に移し替えない
  • 使用期限以内(半年~1年程度)に使い切る

微酸性電解水は、単独で使う場合は人体に無害ですが、ほかの薬品や洗剤と混ぜると塩素ガスなどの有毒ガスを発生する恐れがあります。また、高温の場所や直射日光の当たる場所で保管すると殺菌効果が落ちます。

まとめ:微酸性電解水は人体に無害で、ある程度の長期保存が可能な消毒薬です

  • 微酸性電解水は、電気分解によって作られる「次亜塩素酸水」と呼ばれる水溶液
  • 万が一口に入っても人体には害がない
  • 冷暗所で長期保管ができる
  • 汚れがあると十分に効果を発揮できないため、汚れは落としてから使う

医師から薬剤師の方々へコメント

山本 康博 先生
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生

微酸性電解質は従来の殺菌剤よりも酸性度が抑えられており、人体にも優しくとても便利な殺菌剤です。メリットは上に記載されている点が挙げられますが、いくつか注意すべき点があります。酸性度が弱いため、汚れに触れると効果がなくなる(酸性度が相殺されるため)ことがあります。そのため、桶の中にためて消毒する、という用途には向きません。反対に、水道のように流しながら常に新しい微酸性電解水が供給されるようにしておけば、汚れによって無効化されるというデメリットは避けられます。

関連タグ