ビタミンDは、健康な骨の維持に欠かせない栄養素です。この記事では、ビタミンDの働きや不足すると起こりやすい病気、1日あたりの推奨摂取量を解説します。
ビタミンDってどんな栄養素?
- ビタミンDは、神経伝達をスムーズに行う働きを担っている
- 筋肉を動かしたり、体がウイルスや細菌を退治するときにも欠かせない
- カルシウムの吸収を助ける力もある
- 不足すると、子供の場合はくる病に、大人の場合は骨軟化症や骨粗鬆症になる恐れがある
体内でのビタミンDの働きは?
カルシウムの吸収を高める
- ビタミンDとカルシウムを一緒に摂ると、カルシウムの吸収が促される
- カルシウムの弱点は吸収率が悪く、飲食物から摂取しても摂取量の20~30%しか吸収されない
骨の生成を助ける
- 人間の骨は、骨代謝(「破骨細胞(はこつさいぼう)」が古くなった骨を破壊し、「骨芽細胞(こつがさいぼう)」が新しい骨を作るのを繰り返すこと)を繰り返しながら維持している
- しかし、カルシウムや活性型ビタミンD(小腸で吸収されたビタミンDが、腎臓や肝臓が活性化されたもの)が不足すると、骨代謝のバランスが崩れてしまう
1日に必要なビタミンDの摂取量
1日の平均摂取推奨量(ビタミンDの場合 1IU = 0.025mcg)
米国食品栄養委員会が作成した、年齢別の1日あたりの平均推奨摂取量は以下のとおりです。
- 乳幼児(12カ月まで)
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- 400IU
- 未成年(1歳~19歳まで)
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- 600IU
- 成人(20~70歳まで)
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- 600IU
- 高齢者(71歳以上)
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- 800IU
乳幼児は少なめ、高齢者は多めに摂取するのが望ましいと言われています。ちなみに、妊婦や授乳婦は年齢に関係なく600 IUです。
ただし、カルシウムとビタミンDを摂りすぎると、腸管での調節バランスが崩れて「高カルシウム血症」になる場合もあります。過剰摂取には十分注意しましょう。
まとめ:ビタミンDは骨の生成に欠かせない栄養素。過不足なく摂取しましょう
- ビタミンDは健康維持および骨の維持のために必要不可欠な栄養素
- カルシウムの吸収率を上げて骨の生成に関与するため、不足すると骨粗鬆症などの病気になる恐れがある
- 日ごろからビタミンDを摂取し、日光浴なども心掛ける
- ただし、過剰摂取は体内のバランスを乱すことになるため、ほどよく摂取することが大切
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進するだけでなく、体から排泄されるカルシウムの再吸収を助けることで血中カルシウムの濃度を高める作用を持っています。通常は日光を浴びることで体内で生合成されるため、健康な成人で不足することはあまりありません。ただし、日照時間が減る冬に曇りがちな地域の方や、日光を浴びる時間が少なくなる入院中の患者さん、腸や腎臓の病気が増えてくる高齢者はビタミンDが不足しがちになります。
その一方で、ビタミンDに加え骨粗鬆症の薬などを同時に内服している方は、高カルシウム血症になる恐れもあります。定期的な血液検査を行い、投与量にも注意することが欠かせません。