寒暖差アレルギーとは
- 寒暖差アレルギーとは、急激な気温の変化によって自律神経が乱れたことで、風邪やアレルギーのような症状が出ること
- 医学的には血管運動性鼻炎と呼ばれる
自律神経は、その日の気温に順応できるよう調整する役割を担っています。ただ、自律神経が適応できる寒暖差(約7℃まで)を超えると、さまざまな不調が現れます。
風邪やアレルギーとの違い
- 風邪との違い
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- 風邪を引くと発熱やのどの痛みが現れるが、寒暖差アレルギーではほとんどない
- 風邪も寒暖差アレルギーも鼻水は出るが、風邪の場合は粘性で黄色っぽいのに対し、寒暖差アレルギーの場合は透明でサラッと水っぽい
- アレルギー
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- 寒暖差アレルギーの場合、アレルギー検査をしても特に異常は見つからない
- 寒暖差アレルギーの場合、アレルギーのような目の症状(目のかゆみ、充血など)もみられない
寒暖差アレルギーの主な症状
- サラサラとした鼻水、鼻詰まり
- くしゃみ
- 咳
- 皮膚のかゆみ
- じんましん
- 食欲不振
- 不眠
- 倦怠感
- イライラ など
寒暖差アレルギーの治療法
- 寒暖差アレルギーの場合、出ている症状に応じて診療科を選ぶ。鼻水・くしゃみが多いなら耳鼻咽喉科、イライラするなら心療内科、皮膚のかゆみなら皮膚科、全般的な不調なら内科を受診する
- 症状によって治療法も変わる。鼻炎の症状が強ければ抗アレルギー薬や点鼻薬が、不眠症状強ければ睡眠薬が、皮膚のかゆみがあれば外用薬が処方される
寒暖差アレルギーのセルフケア方法
運動習慣をつける
- 特に筋肉量の少ない女性や高齢者は、寒暖差アレルギーになりやすい
- 毎日軽いウォーキングや筋トレなどを取り入れ、基礎代謝を上げる
体を冷やさない
- 夏場の室内と屋外の寒暖差でアレルギー症状が出るケースも多い
- ひざ掛けやカーディガンなどの防寒グッズを持参し、体を冷やさないようにする
- しょうがなど、体を内側から温める食べ物を日々の献立に取り入れる
まとめ:季節の変わり目は体調管理に一層注意しましょう
- 寒暖差アレルギーは、急激な気温差があれば誰でも発症する可能性がある
- 着脱しやすい服装を心がけたり、日頃の生活習慣を見直したりして予防に努める
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
寒暖差アレルギーは名前の付け方が適切ではなく、本当にアレルギーがあると誤解している方も見受けられますが、実際はいわゆるアレルギーではありません。
自律神経は、特に約7℃以上の温度変化に対してはもともとうまく対応できないとされており、急激な温度変化によって、主に鼻粘膜の血管が拡張して分泌物を増やすなどのアレルギー様の症状が起こります。このため、春や秋などの季節の変わり目に出やすいとされています。ただ、今は夏でも屋外はとても暑いのに室内はクーラーで冷え切っているなど、人工的に温度変化を受けやすい環境にあるため、夏に寒暖差アレルギーを訴える患者さんも増えています。
治療は点鼻薬や内服薬による対応ができますが、あらゆる薬剤には副作用がありますからできるだけ使用せずに済ませたいものです。寒暖差アレルギーは生活上の注意によってかなり防ぐことができますので、このような訴えをお持ちの患者さんがいらしたら、この記事にあるようなことをお伝えすると良いかもしれません。