一般的に、抗生物質は病院で処方されるもの、というイメージがありますが、市販の抗生物質は販売されていないのでしょうか。この記事では、インターネットで販売されている抗生物質を個人で購入しても問題ないかと合わせて解説します。
抗生物質は市販されているの?
薬局やドラッグストアで購入できる抗生物質は、以下の2種類のみ
- 化膿性皮膚疾患(湿疹やあせも、かぶれ、しもやけなど)を治す外用薬
- ものもらいや結膜炎を治す点眼薬
市販の内服薬で抗生物質を含むものはありません。
なお、抗生物質を含む外用薬や目薬を購入する場合、治療中の方や症状の重い方、アレルギー症状を起こしたことがある方、妊婦や高齢者などは、購入時に医師や薬剤師または登録販売者に相談することになっています。
抗生物質の内服薬を通販で入手できる?
- 法的制限はあるものの、ジェネリックも含めてインターネット通販で抗生物質を購入できる
- しかし、偏った情報をもとに服用すると命を落としたり、思わぬ副作用で苦しむこともある
- 抗生物質は適切に服用しないと薬剤耐性菌を作り出すリスクがあるため、正しい情報や、適切な用法・用量を知らずに服用するのはリスクが高い
- 個人購入の医薬品で副作用が起きても「医薬品副作用被害救済制度」の補償は受けられない
まとめ:抗生物質を配合した市販の外用薬と目薬はありますが、内服薬はありません
- 薬局で購入できる抗生物質は、外用薬と点眼薬のみで、内服薬はない
- インターネットの個人輸入で抗生物質を入手することは可能だが、自己判断で服用すると薬剤耐性菌を作り出すリスクや、重度の副作用に見舞われる可能性がある。また、「医薬品副作用被害救済制度」の補償も受けられない
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
抗生物質は日本ではかなり頻繁に処方されるため、自宅に余っているかもしれません。ですが、自己判断で内服を開始および終了するのは時に大きな危険を伴います。たとえば、膀胱炎の時に処方された抗生物質を風邪の時に自己判断で飲んでも、風邪はウイルス感染がほとんどですから治らないどころか、下痢などの副作用を増やすだけです。
また、膀胱炎の症状が出た時に、同じ症状だからと前に処方された抗生物質を内服すると、効果が不十分だった場合や原因菌が異なる場合に腎臓の感染に発展して大変な目に遭うこともあります。まして、個人輸入した抗生物質を飲むなどもってのほかです。