Th2サイトカイン阻害薬が処方される場合とは

アレルギー症状を抑える薬のひとつに、Th2サイトカイン阻害薬があります。この記事では、Th2サイトカイン阻害薬の効果や副作用を解説します。

Th2サイトカイン阻害薬とは

  • Th2サイトカイン阻害薬は、Th2細胞から作られるIL-4やIL-5の生成を抑制してIgE抗体と白血球中の好酸球を減らし、鼻水や鼻づまりなどのアレルギー症状に効果を表す
  • アレルギー性鼻炎だけでなく、アトピー性皮膚炎や喘息などの治療にも使われる

このようなアレルギー反応は、何らかの原因によって免疫細胞からサイトカイン(アレルギー症状や炎症などを引き起こす原因となる)や、IgE抗体などの免疫グロブリンが放出されることで引き起こされます。免疫細胞の中でも特に重要なはたらきを持つリンパ球の「ヘルパーT細胞」の中にあるTh2細胞は、サイトカインの一種であるインターロイキン(IL)などを生成します。

Th2サイトカイン阻害薬がアレルギー性鼻炎で使われる場合

  • 軽症または中等症の鼻閉を主とする充全型(主症状の鼻づまりに加えて、くしゃみや鼻汁もみられるタイプ)で使用される場合がある

ガイドラインでは、通年性アレルギー性鼻炎を以下の3つに分類しています。

  1. くしゃみ・鼻漏型(くしゃみや鼻汁の症状が強い)
  2. 鼻閉型(鼻づまりの症状がくしゃみなどより強い)
  3. 充全型(くしゃみや鼻汁と鼻づまりが同程度)

治療にあたり、くしゃみの回数や鼻づまりの程度などから「軽症」「中等症」「重症」にわけて薬が選択されます。

花粉症では処方されないの?

  • Th2サイトカイン阻害薬は、花粉が飛散する1~2週間前から使用されることがある
  • ただし、この方法で即効性がみられた報告はなく、目安と考えたほうがよい

なお、花粉症の症状緩和で一般的に使われる第2世代の抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬は、即効性が期待できるため、花粉症が飛散し始めたときから飲み始めても症状を和らげることができます。

Th2サイトカイン阻害薬で起こりうる副作用は?

  • 副作用として、吐き気や胃痛などの消化器症状がみられる場合がある
  • まれに、頭痛や眠気、発疹やかゆみなどが表れることもある

このような症状がみられたら、医師や薬剤師へ相談しましょう。

まとめ:Th2サイトカイン阻害薬の使用時期は目安と考えよう

  • Th2サイトカイン阻害薬は、アレルギー反応に伴う鼻水や鼻づまりなどに効果がある
  • 花粉症の場合には花粉が飛び始める1~2週間前から使用することもあるが、この期間はあくまで目安と考えるとよい

医師から薬剤師の方々へコメント

山本 康博 先生
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生

Th2サイトカイン阻害薬はアレルギー性疾患で使用されることがありますが、あくまで補助的な役割を持つにすぎず、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬が治療の主体になります。このため、以前は頻用されていましたが、かなり下火になっています(そもそも最先端の免疫学では、Th1とTh2サイトカインという分類の仕方自体に疑問を呈されています)。

以前からの処方の継続でずっと飲み続けている方がいますが、多数の薬剤の内服 (ポリファーマシー)自体が高齢者では転倒のリスクを高めるなど悪影響を及ぼします。どうしてもTh2サイトカイン阻害薬でないとダメという方を除いて、本当にこの処方が必要かどうか検討していただくのも良いと思います。