中枢性鎮咳薬ってどんな薬?

咳が止まらずに病院へ行くと、咳止めの薬である中枢性鎮咳薬を処方される場合があります。この記事では、中枢性鎮咳薬の種類やその副作用などをご紹介します。

中枢性鎮咳薬とは

  • 脳の咳中枢を阻害し、咳を止める働きがある
  • 中枢性鎮咳薬には麻薬性と非麻薬性がある
麻薬性
  • 麻薬の一種であるコデインは、オピオイド受容体を活性化させることで神経細胞の興奮を静める働きがある
  • 神経細胞の活動を抑えることで咳中枢にも働きかけ、咳を抑える効果が期待できる
非麻薬性
  • 交感神経を興奮させる気管支平滑筋を弛緩させることで気道を広げ、咳症状を改善させる

主な中枢性鎮咳薬は?

麻薬性

フスコデ®︎
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-メチルエフェドリンなどを配合した製剤
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩の抗ヒスタミン作用や、エフェドリンの交感神経を興奮させる働きにより、より強く咳を抑える効果が期待できる
  • シロップ剤、錠剤があり、状態に応じて選択される
サリパラ®︎・コデイン®︎液
  • 桜皮エキスとコデインが配合された液剤
  • 桜皮エキスは、咳を鎮め、痰をからめとる働きがある
カフコデ®︎N
  • ジプロフィリン、ジフェンヒドラミン、ジヒドロコデインなどを配合した製剤
  • 咳を鎮める、熱を下げる、痛みをとるなどの効果が期待できる
リン酸コデイン®︎、コデイン®︎リン酸塩
  • 錠剤や粉末状の散剤があり、その用途などによって選択される
  • 鎮咳薬としての使用のほか、激しい下痢症状の改善や疼痛を緩和するためなどに使われることもある

非麻薬性

アストミン®︎
  • 咳中枢に直接働き、咳を鎮める効果が期待できる
  • 錠剤、散剤、シロップ剤があり、その用途に応じて選択される
アストフィリン®︎
  • パパベリン、エフェドリン、ジフェンヒドラミン、ノスカピンなどを配合した製剤
  • パパベリンやエフェドリンは気管支を拡張させる働きが、ジフェンヒドラミンは抗アレルギー作用が、そしてノスカピンは咳を鎮める働きがある
トクレス®︎
気管支にある筋肉を緩めることなどにより、気管支を拡張させる効果が期待できる
メジコン®︎
  • 咳中枢に直接働き、咳を鎮める
  • 錠剤、散剤、シロップ剤があり、その用途などに応じて選択される
  • シロップ剤は、錠剤と散剤の成分であるデキストロメトルファンに、気道分泌促進薬を配合した製剤
フスタゾール®︎
  • 咳中枢に直接働き、咳を鎮める
  • 錠剤、散剤があり、その用途などに応じて選択される

中枢性鎮咳薬の副作用は?

麻薬性

  • 吐き気、嘔吐、便秘、めまいなどがみられることがある
  • 呼吸中枢を直接抑制するため、呼吸異常や息切れなどが表れることもある

したがって、原則として重篤な呼吸抑制がある患者さん、喘息発作中の患者さんには使用しないといわれています。さらに、繰り返し使用することで薬物依存がみられることがあるため、医師の指示の下、慎重に使用することが求められます。

非麻薬性

  • 食欲不振、吐き気、眠気などがみられることがある
  • アストフィリン®︎を使用した場合には、排尿困難、口渇、血圧上昇などが表れることもある
  • トクレス®︎には、眼圧を上げる可能性のある抗コリン作用があるため、原則として緑内障の患者さんには使用しない

まとめ:中枢性鎮咳薬には、主に麻薬性と非麻薬性の2種類がある

  • 中枢性鎮咳薬には麻薬性、非麻薬性の2種類があり、薬の種類や剤形も幅広い
  • 咳を抑える効果がある反面、依存性が高いといった副作用もある

医師から薬剤師の方々へコメント

山本 康博 先生
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生

中枢性鎮咳薬は大きく麻薬性と非麻薬性に分けられますが、非麻薬性は副作用が少ない反面効果も劣り、麻薬性は効果が高い一方で副作用も強く出ることがポイントです。

「風邪の後に咳が残ってつらい」という患者さんにはまず非麻薬性鎮咳薬を処方しますが、概して1剤では効果が乏しく、2剤を併用する必要があることが多いです。それでも咳が止まらずに夜も眠れないという場合に限り、麻薬性鎮咳薬のコデインを処方するというように、麻薬性鎮咳薬の使用はできるだけ絞るのが副作用コントロールのためには重要です。

コデインは日中の眠気や吐き気を感じる方が多く、また自動車の運転などを避けるように指導する必要があるため安易な使用は回避したほうが安心です。しかし鎮咳効果は強いので、寝る前に飲んで夜間の咳を止めるためだけに使うなどの工夫をするとよいでしょう。なお、風邪が治った後に咳だけ1カ月程度残るという症状の多くは感染後咳嗽という疾患です。