食中毒の治療で処方される薬は?自宅での過ごし方も合わせて解説

食中毒を治療するとき、つらい症状を治すためにどんな薬が処方されるのでしょうか。また、自宅で対処するときに気をつけるポイントはあるのでしょうか。この記事では、食中毒の治療薬や自宅での対処法について解説します。

食中毒の治療で服用する薬は?

  • 細菌が原因で食中毒を発症した場合、抗生物質を処方される
  • ペニシリンなどの抗生物質は、細菌による細胞膜の形成を阻害し、細菌が育つのを抑制する効果がある
  • ただし原因がウイルスの場合、抗生物質はまったく効かないため、処方されない
  • 食中毒を引き起こす代表的なウイルス(ノロウイルス)は、有効なワクチンや治療薬(抗ウイルス薬)がないため、発症した場合は対処療法が基本となる

食中毒の症状改善のために自宅でできることは?

水分補給
  • 水分補給をすると、嘔吐や下痢による脱水症状を予防できる
  • 冷水ではなく、常温か少し温かいものを摂るとよい
  • 吐き気があって水が飲みづらいときは、スプーン1杯程度の冷ましたお湯を少しずつ飲む
少しずつ食事をとる
  • 水分補給で症状が治まってきたら、少しずつ食事をとる
  • 嘔吐や下痢で消化器官が弱っているので、消化吸収が良く栄養価の高いものを選ぶ
  • 冷たいままではなく、温めてから食べる
横向きで寝かせる
高齢者や子供の場合、嘔吐物が喉に詰まってしまうことがあるため

療養中におすすめの食べ物・飲み物

栄養補給に適した食べ物

  • 柔らかいご飯
  • うどん
  • おかゆ
  • 野菜スープ
  • バナナ
  • りんご
  • 納豆
  • 豆腐
  • 芋類
  • ヨーグルト

下痢や嘔吐が続いているので、胃腸にやさしいものや、整腸作用のあるものがおすすめです。ただし、柑橘類・香辛料・揚げ物など、胃腸への刺激の強いものは控えましょう。

水分補給に適した飲み物

  • スポーツドリンク
  • ミネラルウォーター
  • 薄いお茶
  • 湯冷まし

スポーツドリンクを過剰摂取すると、体内のイオンバランスが乱れる場合があるので、適量を心がけましょう。

病院へ行くべき場合は?

  • 1日10回以上下痢が続く
  • 半日以上尿が出ない、尿の量が少ない
  • 意識低下
  • 血便が出る
  • 嘔吐が続く
  • 体がふらつく

また、食中毒による下痢・嘔吐・発熱・血便などの症状がひどい場合、応急処置では間に合わないことがあります。重症の場合は救急車を呼んでください。特に、高齢者や子供の場合は早期治療が欠かせません。

まとめ:抗生物質が効くのは細菌による食中毒のみ

  • 食中毒の原因が細菌の場合は抗生物質が有効だが、ウイルスが原因の場合は抗生物質は効かない
  • 自宅で療養する際は、脱水症状にならないように水分補給をこまめに行う
  • ただし、重症の場合はすぐに医療機関を受診する

医師から薬剤師の方々へコメント

前田 裕斗 先生
国立成育医療研究センター フェロー
前田 裕斗 先生

食中毒で抗生物質が処方されるのはごく一部の場合のみです。また、ウイルスが原因の場合は対症療法が主体となりますが、その場合でも病原体を排出することが優先されるため、止痢薬を処方しないのが基本です。とにかく水分摂取、安静にして経過をみます。また、病原体によっては非常に感染力が強く、看護側が感染する可能性がありますから吐瀉物・排泄物の処理時は感染防御に注意するよう伝えましょう。