避妊や月経痛の軽減、月経周期のコントロールのためにピルを服用していると、気になるのが副作用かもしれません。この記事では、ピルを服用中に起こりうる副作用とともに、発症リスクを高める習慣について解説します。
ピルの効果と副作用
- ピルはエストロゲンを主成分とする経口避妊薬
- 排卵を抑制し、月経周期のコントロールや月経痛の軽減、避妊効果をもたらす
- 正しく服用すれば、安全かつほぼ確実に避妊効果を得られる
- ピルの副作用として、ホルモンバランスの乱れと血栓症がある
エストロゲンには血を固まりやすくする性質があるため、ピルの服用中は血栓ができやすくなると言われています。その頻度は非常に低く、10万人に15~20人ぐらいと言われています。ただ一方で、ピルを服用している女性は、服用していない女性と比べて3~4倍血栓症のリスクが高くなる、という報告もあります。
血栓症の初期症状
- ピルの副作用による血栓症は、ピルの服用開始から3カ月以内に最も起こりやすい
- 血栓症が疑われる初期症状
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- ふくらはぎの痛み
- 手足のしびれ
- 急激な視力低下
- 舌のもつれ
- めまい
- 激しい胸痛、頭痛、腹痛
ピル服用時にこうした症状がみられたら、血栓症の初期症状である可能性が考えられます。すぐに産婦人科を受診して、適切な治療を受けるよう促すことが大切です。
ピル服用時に喫煙することのリスク
- ピル服用中の喫煙は血栓症を引き起こすリスクを高める
- 低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(日本産科婦人科学会)より
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- 健康な非喫煙者がピルを服用している場合:1
- 喫煙習慣のある人がピルを服用している場合:167
喫煙していない健康な女性がピルを服用している場合、血栓症を発症して重症化するリスクは非常に低いのに対し、喫煙している方の場合は血栓症だけでなく、さまざまな疾患を発症するリスクが非常に高くなることが明らかになっています。
まとめ:ピルの副作用で血栓症を発症する確率は低いが、体調変化があればすぐ医療機関へ
- ピルの主成分であれうエストロゲンには、血液を固まりやすくする働きがある
- まれに、服用中の副作用として血栓症を引き起こすことがある
- ただし、喫煙者の場合は血栓症を発症・重症化するリスクがとても高い
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
ピルにより発症する血栓症のリスクは高くはありません。しかし、ピルの利用者数が爆発的に増加していることにより、実際にはピルによって誘発される血栓症はある程度存在すると考えられます。
たくさんの利用者がいる薬剤こそ少ないながら起きる可能性のあるリスクについてはしっかりと説明しておく必要があります。喫煙習慣があったり血液凝固疾患をお持ちの方を見逃さないようにしましょう。