ビオチンは水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群に属する栄養素です。この記事では、ビオチンの働きや、ビオチンを多く含む食べ物、不足した場合にみられる症状を紹介します。
ビオチンとは
- 水溶性のビタミンで、ビタミンB群のひとつ。酵母が増えるのに必要な因子として発見された
- アルコールや水に溶けやすい
- 熱や酸に強い反面、アルカリには弱い
- 研究が進むにつれ、ビオチンには皮膚の炎症を食い止める力があることが判明
ほとんどのビオチンは、体内ではタンパク質と結合した状態で存在します。消化によってタンパク質が分解されるとビオチンが遊離し、主に空腸から吸収されます。
ビオチンの働きは?
- 糖代謝を助ける
- 筋肉痛を緩和させる
- 食欲不振を防止する
- 皮膚や粘膜、髪や爪の健康を維持する
- 爪や皮膚を強化する
1日に必要なビオチン摂取量は?
- ビオチンの1日の推奨量(男女とも。単位はμg/日)
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- 0~5カ月:4μg
- 6~11カ月:10μg
- 1~5歳:20μg
- 6~7歳 :25μg
- 8~9歳 :30μg
- 10~11歳:35μg
- 12歳以上:70μg
ビオチンが不足すると?
以下のようなビオチン欠乏症の症状がみられます。
- 脱毛
- うつ
- 皮膚炎
- 湿疹
- 疲労感
- 結膜炎
ビオチンを過剰摂取すると?
- ビオチンは過剰摂取してもすぐに尿として排泄されるため、大きな影響はない
ビオチンを多く含む食べ物は?
- 卵黄
- 牛レバー
- 大豆などの豆類
- 穀類
卵からビオチンを摂取したいときは、加熱調理するのがおすすめです。これは、生卵に含まれるアビジンが胃の中でビオチンと結びつくと、ビオチンの吸収を妨げてしまうためです。
まとめ:ビオチンは皮膚や髪の健康に欠かせないビタミンです
- ビオチンはビタミンB群のビタミンのひとつで、糖代謝の促進、皮膚や髪、粘膜の健康を維持する力がある
- 不足するとうつ症状が出たり、皮膚炎を起こしたりする
- よほど大量に摂取しない限り、過剰摂取による健康リスクは起こらないが、妊娠中の過剰摂取は控えるのが無難
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
ビオチンはビタミンB7とも呼ばれます。よほどのことがない限り、欠乏したり、過剰になることはありませんが、卵白の大量摂取には注意が必要です。というのも、ビオチンが生の卵白に含まれるアビジンと強く結合して吸収が阻害されると、欠乏症が生じることがあるためです。
また、皮膚や糖尿病へよい効果があると言われることもありますが、科学的な証拠は乏しいです。もし尋ねられたら、あくまで効果がある可能性が示唆されている、といった程度に伝えましょう。