α-グルコシダーゼ阻害薬は、血液中の糖を減らす糖尿病治療薬です。この記事では、α-グルコシダーゼ阻害薬の効果や副作用などを解説します。
α-グルコシダーゼ阻害薬とは
- α-グルコシダーゼ阻害薬は、消化管から糖が吸収されるのを遅らせて血糖値を下げる働きがある
- α-グルコシダーゼ(炭水化物を分解する酵素)の働きを阻害し、炭水化物が単糖類として吸収されるのを遅らせる
- 単体で服用する場合は低血糖を起こしにくい、体重増加が起こりにくいといった特徴がある
代表的なα-グルコシダーゼ阻害薬は?
- ミグリトール製剤(商品名:セイブル®︎)
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- 吸収型の薬
- 食後1時間ほど血糖値を抑制することができる
- OD錠があるため、嚥下機能が低下している方でも服用しやすい
- アカルボース製剤(商品名:グルコバイ®︎)
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- 吸収型の薬
- OD錠も開発されている
- ボグリボース製剤(商品名:ベイスン®︎)
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- 非吸収型の薬
- OD錠も開発されている
- 耐糖能異常による2型糖尿病の発症を防ぐ目的で使うこともある
α-グルコシダーゼ阻害薬で起こりうる副作用は?
消化器症状
- おならが異常に増えた
- お腹の張り
- 腹痛
- 極度の便秘や下痢
- 吐き気
- 嘔吐
特に、セイブル®︎には下痢が起こりやすい傾向があります。
低血糖症状
- 気持ちが悪い
- 冷や汗が出る
- 脱力感
- ふらつく
- 手足の震え
薬の服用時間と食事の時間が空きすぎると、低血糖が起こる可能性があります。また、急激なふらつきによって歩行が難しくなることもあるため、自動車の運転や高所作業に気を付ける必要があります。
肝機能障害
- 食欲不振
- 黄疸
- 倦怠感
ただし、肝機能障害が起こるのはまれです。
まとめ:α-グルコシダーゼ阻害薬は血糖値の急上昇を抑えてくれる薬です
- α-グルコシダーゼ阻害薬を食前に服用すると、急激な血糖値の上昇を防止できる
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
糖尿病薬やインスリンを使用する際、最も注意すべきことは低血糖を起こさないことです。低血糖は身体、特に脳細胞にとっては著しいストレスであり、低血糖に応じて交感神経が活性化し、不整脈などの心血管イベントを起こす可能性があります。そのため、低血糖が起こった回数に比例して死亡率が上がることが知られています。
αグルコシダーゼ阻害薬は、低血糖を起こしづらいという点でとても使いやすい薬剤です。ただし、かなりの方が腹部膨満感や便通の変化を訴えることがあります。これらはあらかじめお伝えしておかないと退薬につながることがあるため、薬を渡すときに一言お伝えいただくとよいと思います。