血糖値を下げる働きを持つホルモンに、GLP-1があります。糖尿病の治療では、GLP-1を補うためにGLP-1受容体作動薬を使うことがあります。この記事では、GLP-1受容体作動薬の特徴や効果、副作用を紹介します。
GLP-1受容体作動薬の特徴は?
- GLP-1ホルモンを補う薬
- 内服薬では効果がみられない場合に使われる
- 低血糖を起こしにくい
- 体重増加の副作用を招きにくい
GLP-1受容体作動薬の種類は?
薬の種類
- GLP-1受容体作動薬は注射タイプの薬液
- 投与のタイミングが「1日に1回」か「1週間に1回」かで分類できる
- 1日に1回注射するタイプ
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- リラグルチド(商品名:ビクトーザ®︎)
- エキセナチド(商品名:バイエッタ®︎)
- リキシセナチド(商品名:リキスミア®︎)
- 1週間に1回注射するタイプ
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- エキセナチド持続性注射剤(商品名:ビデュリオン®︎)
- デュラグルチド(商品名:トルリシティ®︎)
注射器の種類
- シリンジ
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- 薬液をシリンジで容器から吸い上げて投与する
- ペン型注入器
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- ペン型容器に薬液が充填されており、針を装着して投与する
- 自分で投与量を調節するタイプと、1回分の薬液が充填されているタイプがある
- オートインジェクター
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- あらかじめ1回分の量が充填されており、ボタンを押すと自動的に投与される
- 針の装着が不要
- 1回で使い切る
GLP-1受容体作動薬の副作用は?
- 主な副作用として、低血糖と消化器症状(便秘、下痢、吐き気や嘔吐)がある
- 低血糖を引き起こす可能性は比較的低いが、SU(スルホニル尿素)薬やインスリンと併用する場合は要注意
まとめ:GLP-1受容体作動薬とほかの薬を併用する場合は、副作用に気をつけましょう
- GLP-1受容体作動薬は、内服薬での治療では効果がみられない場合に処方される
- ただし、SU薬やインスリンと併用する場合は、低血糖などの副作用が起こりやすい
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
GLP-1作動薬は注射薬なのが大きな特徴です。家族や介護職の方が見守っている場所で、高齢の患者さんに注射する場合には便利な薬剤と言えます。特に、近年では1週間に1回だけ打つだけで良い Weekly製剤の使用頻度が増えています。
しかし、実際には注射を打つ前の混和、注射部位の硬結出現、一度打つと2週間位効果が継続して高齢者にはかえって長すぎるといったトラブルを聞くことがあります。また、導入時期に吐き気などの症状が出ることがあり、さらに効果が長く続いてしまうために調整が難しいことがあります。
これらの予想されるトラブルについてあらかじめご説明いただくと、ご家族の不安により添えて良い治療アドヒアランスにつながると思います。