2018年に、新しいインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ®」が発売されました。この薬は1回の服用で効果が期待できるため、注目を集めています。この記事では、ゾフルーザ®の特徴や従来の治療薬との違いや副作用、デメリットを解説します。
ゾフルーザ®の特徴
- 2018年2月に厚生労働省に承認され、同年3月から販売されているインフルエンザ治療薬(内服薬)
- タミフル®、イナビル®、リレンザ®といった従来のインフルエンザ治療薬と比べ、体内からインフルエンザウイルスが消滅するのが早い
- タミフル®が効かない耐性ウイルスにも効果を発揮する
内服タイプのインフルエンザ治療薬「タミフル®」との違い
- 1. 薬の作用の違い
-
- ゾフルーザ®:細胞内でウイルスそのものの増殖を抑える働きがある
- タミフル®:細胞内で増殖したウイルスが細胞の外に出るのを防ぐことで感染拡大を防ぐ
- 2. 服用回数の違い
-
- ゾフルーザ®:1回服用すればウイルスの増殖を抑える効果を発揮できる
- タミフル®:効果を得るためには1日2回、5日間の服用が必要
ゾフルーザ®の副作用・デメリット
副作用
以下は成人および12歳以上の小児を対象とした臨床試験で判明した副作用です。
- 頭痛
- 下痢
- 嘔吐
- ALT(GPT)、ASTの上昇
- 異常行動
- 出血
ゾフルーザ®は1回の服用で効果がある反面、長期にわたって体内に薬の成分が残ります。このため、重大な副作用が起きた場合に回復までに時間がかかる可能性も懸念されます。
なお、2020年4月には虚血性大腸炎の副作用がみられることも明らかになっています。
デメリット
- 耐性ウイルスを生みやすい
- 薬価が高い
臨床試験で、子供の23.3%、大人の9.7%に耐性ウイルスが見つかったことが報告されています。また、国立感染症研究所によると、ゾフルーザ®を投与されたA香港型インフルエンザ30名のうち、73%にあたる22名から耐性ウイルスが検出されたことが明らかになりました。耐性ウイルスができると症状が長引くだけでなく、周囲に広がってしまう恐れがあるため、ゾフルーザ®の処方に慎重な病院もあります。
また、ゾフルーザ®は1錠あたり1,436円かかるのに対し、タミフル®は1錠あたり816円、リレンザ®が882円です。特に、タミフル®には後発品もあるため、割高感は否めません。
まとめ:ゾフルーザ®は耐性ウイルスの問題があるため、慎重な取り扱いが必要です
- ゾフルーザ®のメリットは1回の服用で効果が得られることである
- ただし、デメリットとして耐性ウイルスが出現しやすいことが判明している
- 効果や副作用の面で未知数の部分も多いため、慎重に扱う必要がある
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
ゾフルーザ®︎は1回の服用でよいことや、新薬への期待もあり、頻繁に使用されるようになりました。ただし、乱用は耐性ウイルスを生み出してしまうことにつながるため、将来に禍根を残す恐れがあります。また、ほかの薬に比べて薬価も割高でもあるので、しばらくは慎重に扱ったほうがよいかもしれません。