骨粗鬆症治療薬のひとつに、ビタミンK製剤があります。この記事では、ビタミンK製剤と骨との関わりや治療薬の種類、服用時の注意点を紹介します。
ビタミンK製剤とは
- ビタミンK製剤は、体内にビタミンKを補って骨粗鬆症でもろくなった骨を丈夫にする
- 油に溶けやすく、骨の代謝や血液を固める働きを助けて、骨の生成や破壊の抑制、骨を強くする働きを持つ
ビタミンKは不足しにくいビタミンですが、加齢や女性ホルモン(エストロゲン)の不足、運動不足などによって、骨の維持に必要な代謝のバランスが崩れやすくなります。
骨粗鬆症の治療で服用するビタミンK製剤は?
- カプセル剤のメナテトレノン(商品名:グラケー®)が使われる
- グラケー®はビタミンK2の高単位製剤。腰痛や背中の痛みの改善とともに、骨密度の増加や骨折予防効果も期待できる
- ジェネリック医薬品もある
グラケー®︎で起こり得る副作用は?
- グラケー®の作用は穏やかで副作用もほとんどなく、老人性の軽い骨粗鬆症に適している
- 消化器症状(胃の不快感、吐き気、軟便、下痢など)がみられることもあるが、重大な副作用にはならない
- ただし、発疹や発赤、かゆみやむくみなどがあらわれた場合は医師に連絡する
- 抗凝固薬のワルファリンカリウム(商品名:ワーファリン®)との併用は原則としてできない
まとめ:ビタミンK製剤は、骨の生成や破壊を抑制するだけでなく、骨を丈夫にします
- ビタミンK製剤は、骨の代謝や血液を固める働きを助け骨を作ったり、骨が破壊されるのを抑える作用を持つ
- メナテトレノン(グラケー®)が、主に骨粗鬆症の治療に使用される
- 腰痛や背中の痛みが改善するとともに、骨密度の増加や骨折予防効果も期待できる
- 作用がおだやかで副作用もほとんどないため、老人性の軽い骨粗鬆症治療に向いている
- 抗凝固薬と併用できない
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
日本では研究結果に基づき、ビタミンKが骨粗鬆症の治療に広く使われています。主に閉経後の女性で、骨密度の上昇や骨折リスクの低減があるという結果ですが、必ずしも一定したものではなく、効果がないという研究もあります。骨粗鬆症の第一選択薬ではありませんので、あくまで補助や、ごく軽い症例に使われる、という認識でいるのがよいでしょう。