日焼け止めは紫外線対策に欠かせないアイテムです。毎年、店頭にさまざまな商品が並びますが、一般のお客様にとってわかりにくいのが紫外線カット成分の「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の違いではないかと思います。この記事では、これらの紫外線カット成分について、それぞれの違いや特徴を解説します。
紫外線吸収剤とは
- 紫外線を化学反応させ、熱などのエネルギーに変換・放出することで、日焼けや肌の奥に紫外線が浸透することを防ぐ成分
- メリット
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- 化学反応を利用しているため、少量でも高い防御効果が期待できる
- 肌に塗ったときに白くなりにくく、べたつきにくい
- 汗に強い
- デメリット
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- こまめに塗り直す必要がある
- 肌への負担が大きい
- 肌が弱いと肌荒れやかぶれの原因になる
紫外線散乱剤とは
- 紫外線を反射・散乱させる作用のある白色顔料粒子の性質を利用して、紫外線が肌に浸透するのを防ぐ成分
- 紫外線吸収剤はかぶれを起こすことがあるので、日焼け止めでかぶれた経験がある方は紫外線散乱剤を選ぶのがおすすめです。
- メリット
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- 紫外線を反射させる仕組みのため、比較的肌への負担が少ない
- 構造が壊れにくいため、一度塗ると長時間効果が持続する
- UVA(真皮まで届いて肌を黒くしたり、シミ・シワ・たるみを引き起こす)、UVB(肌の表面に影響を与える紫外線)の両方の紫外線への防御効果がある
- デメリット
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- 白くなりやすい
- 塗ったときのびが悪く、使用感がベタつく
- 汗に弱い
日焼け止めの選び方のポイントは?
その1:日焼け止めが想定する用途を基準にする
- 「かお用」「からだ用」「レジャー用」「日常生活用」など、それぞれの日焼け止めが想定する用途によって、紫外線防御の強度や耐水性が異なる
- パッケージの記載から、想定に近いものを選ぶ
その2:日焼け止めの「SPF値」「PA値」を参考にする
- SPFはUVB、PAはUVAから肌を守る目安を表す数値
- 肌の焼け方を考慮しながら、SPF、PA両方の数値バランスが良いものを選ぶのがおすすめ
その3:自分の肌質や、日焼け止めの使用感を基準にする
- 自分の肌質や好みの使用感を基準に選ぶ
- 毎日使うことを想定している場合、低刺激のものや「こども用」「ベビー用」を選ぶのもおすすめ
まとめ:紫外線吸収剤・紫外線散乱剤の特徴を知り、適切な商品を選んでもらいましょう
- 日焼け止めに含まれる紫外線防御成分は、大きく紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2つに分類される
- それぞれにメリット・デメリットがあるが、選択時、成分にこだわる必要はない
- 用途とSPF・PAの数値を参考にしつつ、自分の肌質と好みを基準に使いやすいものを選んでもらう
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
紫外線吸収剤にしても、紫外線散乱剤にしても、選ぶときに大切なのはその人の肌に合うかどうかです。日焼けを防ぐことができても、かゆみやかぶれといった肌トラブルを起こしてしまっては大変です。初めて購入した日焼け止めの場合は、すぐに全身に使うのではなく、まず目立たないところに塗ってみて、肌に合うかどうかを試すよう伝えてください。
また、日焼け止めを使っても、汗で流れたりすると効果が弱くなってしまうので、帽子や日傘なども併用するよう伝えてください。