子供に片頭痛は起こらないと思う方が多いのですが、実はそれほど珍しいことではありません。この記事では、子供の片頭痛の症状や発症する原因、対処法を紹介します。
子供も片頭痛の特徴は?
- 頭の両側が痛む(大人の場合は片側が痛むことが多い)
- 頭痛の持続時間が1~72時間(大人の場合は4~72時間)
片頭痛が起こる前兆として、光や音、臭いに敏感になったり、テレビや音の刺激をいやがったりすることがあります。また、片頭痛が始まるとズキンズキンと脈打つような痛みが起こったり、嘔吐や吐き気、光、音、臭いに敏感になったりすることもあります。
子供の片頭痛の原因は?
- 遺伝
- 生まれつきの体質
- 環境因子
特に母親が片頭痛持ちの場合、子供に遺伝する可能性が高くなると言われています。
子供が痛がったときに使える薬は?
- アセトアミノフェンかイブプロフェンを配合した薬に高い効果が期待できる
- 頭痛が1時間以上継続するときに服用させるとよい
- ただし、ロキソプロフェンは子供への安全性が確立されていないため、15歳未満の子供に服用させることはできない
小学校高学年以上で、アセトアミノフェンやイブプロフェンでは改善しなかった場合、片頭痛治療薬のスマトリプタンやリザトリプタンで効果が得られる場合もあります。ただし、別の原因による頭痛の場合も考えられるため、医師に診てもらったほうが安心です。
子供の片頭痛は生活習慣の乱れが原因のことも
- 子供の片頭痛は、生活習慣の乱れ(寝すぎ、寝不足、暗い部屋でゲームをするなど)が招いている可能性がある
- 朝食を食べないことによる低血糖が頭痛を招くことも
生活習慣の乱れが原因と考えられる場合、適切な睡眠時間をとることや、暗い部屋でゲームをしないようにすることが大切です。特に、早寝早起きは頭痛の予防に効果があり、睡眠時間を1時間多くしたことで片頭痛が改善したという例もあります。
なお、片頭痛の痛みが続いている時に入浴すると症状を悪化させるため、頭痛のときは入浴を控えましょう。
まとめ:アセトアミノフェンとイブプロフェンが、子どもの片頭痛に飲ませてよい薬です
- 子供も大人と同じく片頭痛になる
- 服用できる薬はアセトアミノフェンかイブプロフェン
- ロキソプロフェンは、15歳未満の子供に服用させてはいけない
- 遺伝が原因となるほか、生活習慣の乱れが原因となることもある
- 早寝早起き、朝食を摂るなど、生活習慣の改善から始める
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
子供でも偏頭痛を起こすことがあります。頻度は人種や地域によっても異なりますが、7歳までに全体の2.5%、10歳までに5%発症する、というデータがあります。また、思春期になるまでは男女差はありませんが、思春期を迎えると女子に多く発症するようになります。
症状改善のためには、まず正確な診断が必要です。頭痛を繰り返している様子がみられたら、病院へ行くよう促しましょう。自己判断で症状を放置しておくと、他の病気が隠れていたときに取返しのつかないことになる恐れがあります。
治療では、まず鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェン)での症状コントロール、あまり効かないようであればトリプタン製剤を用います。生活習慣の改善ももちろん重要ですが、症状が改善しない場合は医師にきちんと診断してもらうことが大切です。