季節の変わり目になると、急激な寒暖差から風邪を引きやすくなります。すっきり治ればよいのですが、なかには鼻水やだるさといった症状はないのに、なぜか咳だけが長引くこともあります。このようなときに考えられるのが「咳ぜんそく」です。この記事では、咳ぜんそくの特徴や対策をご紹介します。
季節の変わり目の風邪と咳ぜんそくの違い
- いちばんの違いは咳の持続期間
- 風邪による咳は3週間未満で自然治癒することが多いが、咳ぜんそくの咳は2~3週間以上続く傾向がみられる
咳ぜんそくとは、慢性的に咳が続く気管支の病気です。一般的な喘息と同じく、気道が狭まっていろいろな刺激に過敏に反応することで、気管支が炎症を起こして咳が止まらなくなります。咳ぜんそくは風邪に併発して起こることが多く、主な症状も咳なので、ただの風邪として放置してしまうケースも少なくありません。
咳ぜんそくの症状の特徴
- 痰のからまない空咳が1カ月以上続いている
- 夜中から明け方にかけて咳が悪化する
- ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難はみられない
- 発熱はない
咳ぜんそくを発症する原因
- 主な原因は、ホコリやダニなどのハウスダスト、タバコの煙、運動、ストレスなどによる気道への刺激
- 急激な寒暖差も原因のひとつになる
- もともとアレルギーのある方は気道が炎症を起こしやすいため、咳ぜんそくの発症率が高い傾向がみられる
咳ぜんそくの症状を緩和するには
- 気管支拡張薬(空気の通り道を広げる薬)や吸入ステロイド薬を使うのが一般的
- 咳ぜんそくによる咳は、市販の風邪薬や咳止めを使っても緩和しない
吸入ステロイド薬は優れた抗炎症効果があるだけでなく、副作用の心配もほとんどありません。そして、本格的な気管支ぜんそくへの移行を予防する効果もあるといわれています。
咳ぜんそくは自然治癒するケースも多いですが、およそ3割は気管支ぜんそくに移行すると言われています。咳の緩和のためだけでなく、移行を防ぐ意味でも、吸入ステロイド薬による薬物療法を早く行うことが重要です。
まとめ:3週間咳が続いているときは、咳ぜんそくの可能性があります
- 3週間以上咳が続いている、市販の風邪薬を飲んでも咳だけが続いている場合、咳ぜんそくを発症している可能性が高い
- 気管支ぜんそくへの移行を防ぐためにも、早めに呼吸器科などを受診して治療する
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
咳だけがずっと続く場合は咳ぜんそくの可能性があります。風邪のウイルスなどで気道に生じた炎症が長引くと咳が続きます。咳が長く続いているだけと思ってしまいがちですが、本格的な気管支ぜんそくへと移行する場合もあるため、3週間以上咳が続く場合は必ず病院を受診するよう伝えましょう。