最近はドラッグストアだけでなく、コンビニでも市販薬を入手できます。身近な存在になりつつある市販薬ですが、症状合わない薬を買ってしまうと、思うような効果が得られなかったり、症状が悪化したりする恐れがあるため、選び方に注意を促したいところです。この記事では、市販の胃腸薬の選ぶ際のポイントを解説します。
市販の胃腸薬、選ぶ際は「症状」に注目を
- 胃腸の症状は、「昨日飲みすぎたせいで胃もたれがひどい」「胃がキリキリする」「胃酸が逆流してくる」など、かなり幅広い
- どのような症状が出ているかによって、選ぶべき薬は異なる
キリキリした胃痛や胃酸の逆流に適した胃腸薬は?
- キリキリとした胃痛や胃酸の逆流は、胃液の分泌が多くなりすぎているサイン
- 胃液によって胃壁が荒れて炎症や潰瘍が起きているか、起こりつつあるために痛くなっている可能性がある
おすすめの胃腸薬
- 鎮痙薬
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- 胃の痙攣を抑制する薬
- ブスコパン®A錠、サクロン®Q、ストパン®など
- H2ブロッカー薬
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- 胃酸を分泌させるヒスタミン H2受容体の働きを阻害する薬
- ファモチジン錠、ガスター10®、イノセア®ワンブロックなど
- 制酸薬
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- 胃酸を中和する薬
- パンシロン®、サクロン®錠、スクラート®胃腸薬など
- 酸分泌抑制薬
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- 胃酸の分泌を抑える薬
- ガスター10®、ガストール®錠など
- 胃粘膜保護薬
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- 胃の粘膜を保護する薬
- ガスター10®、パンシロン®、アシノン®Z錠など
胃もたれや消化不良に適した胃腸薬は?
- 消化不良や胃もたれは、食べすぎや飲みすぎによって起こる
- これらの症状は、胃の働きが弱っているか、胃酸の分泌が過度に少なくなっているサイン
おすすめの胃腸薬
- 健胃薬
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- 胃の働きを活発にする薬
- ヘパリーゼ®胃腸内服液、ソルマック®EX、熊膽圓Sなど
- 消化薬
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- 消化酵素によって消化を助ける薬
- わかもと®消化薬、キャベジンコーワ®αなど
- 食べすぎや飲みすぎが原因だとわかっているときにおすすめ
- 総合胃腸薬
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- 健胃、制酸、消化といった効果を網羅した薬
- 第一三共胃腸薬、太田胃酸やパンシロン®Gなど
- 原因がはっきりしない場合におすすめ
下痢などの腸の症状に適した胃腸薬は?
- 主な症状が下痢など腸の症状の場合、腸内の細菌感染の予防や、腸内での異常発酵を抑制する薬を服用する
おすすめの胃腸薬
- 整腸剤
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- 乳酸菌などを補充することで腸内環境を整え、下痢やガスの発生などを改善する薬
- 新ビオフェルミン®S錠、ザ・ガード®コーワ整腸剤α3など
- 下痢止め
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- 急な下痢の排出を抑制する薬
- ただし、下痢を止めることで回復が遅くなる場合もあるため、自己判断での服用は厳禁
- ビオフェルミン®止瀉薬、ストッパ®下痢止め、正露丸®など
まとめ:症状に合った胃腸薬を選んでもらうことが回復の第一歩です
- 一言で「胃腸薬」といっても、さまざまな作用の薬に分類できる
- つらい症状が下痢なのか、胃の痛みなのか、もしくは胃もたれや不快感なのかなどを把握し、症状に合う薬を提案する
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
市販薬をすすめる際は成分に注目しましょう。場合によっては、病院で処方されるものと同じ成分の薬がある場合もあります(ガスター10®や、ブスコパン®など)。一方、いわゆる治療薬までは…という方には健胃薬などをすすめるのも良いですが、過量の内服と、過度に健胃薬を信用しないよう伝えてください。