コレステロールを下げる薬の種類は?

コレステロールの数値を下げなければいけないとき、どのような薬が処方されるのでしょうか。また、コレステロールを下げる市販薬の有無についても解説します。

脂質異常症とは

  • 血液中のコレステロール、中性脂肪が高い状態
  • かつては高脂血症と呼ばれていたが、現在は脂質異常症と呼んでいる
  • 脂質異常症は、糖尿病や高血圧などと並んで動脈硬化を進行させ、心臓や脳の病気を引き起こすリスクがある

コレステロールを下げる薬の種類

HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン系薬剤)

  • コレステロールは、HMG-CoA還元酵素が働いて肝臓で合成される
  • HMG-CoA還元酵素阻害剤は、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害し、コレステロールの合成を抑える薬のこと
  • 肝臓は、コレステロールが不足すると血液中から補充しようとするため、生成を阻害することで血液中のコレステロール値が下がる

酵素は、化学反応の仲介になる物質です。体内で起こる化学反応の多くは、さまざまな酵素の働きによって起こっています。

陰イオン交換樹脂製剤

  • 陰イオン交換樹脂製剤は胆汁酸と結びつき、小腸での再吸収を防いで体外への排出を促す薬

胆汁酸は、肝臓でコレステロールを原料にして作られる黄色く透明な液体で、胆汁の主成分です。分泌された胆汁酸は小腸で再吸収され、再びコレステロールとして利用されています。

プロブコール®

  • 胆汁中へのコレステロールの排泄を促すとともに、コレステロールの合成を抑える薬
  • 黄色腫(まぶたや皮膚にできるコレステロールの固まり)を消滅、もしくは縮小させることができる
  • 将来起こる可能性がある心筋梗塞の予防も期待できる

小腸コレステロール輸送体阻害剤

  • 小腸にたどり着いたコレステロールは、血液中に再吸収される
  • 小腸コレステロール輸送体阻害剤は小腸の再吸収を阻害し、血液中のコレステロールが増えないようにする

コレステロールの薬は市販されていない?

  • 現在、日本では抗コレステロール薬は市販されていない
  • ただし、コレステロール値を改善すると言われる大豆油不けん化物やビタミンを配合した薬は市販されている

大豆油不けん化物は大豆に由来する成分で、コレステロールの吸収を抑えて血液中のコレステロール量を低下させます。

また、ビタミンのうち、B2は糖質、脂質、タンパク質の代謝に、パンテチン(ビタミンの一種)は脂肪酸代謝に関わる補酵素を作ることに関わる成分で、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らすだけでなく、血管壁にコレステロールが付着することも防ぎます。

大豆油不けん化物やビタミンを配合した市販薬

コレストン®

  • 第3類医薬品
  • 主成分は大豆由来の大豆油不けん化物
  • 小腸でのコレステロールの吸収を妨げ、コレステロールの排泄を促す
  • また、パンテチンとビタミンEも配合されている
  • 血中コレステロール値を改善することが期待される

シンプトップ®

  • 第3類医薬品
  • 主成分は大豆から抽出した高活性レシチンで、血液中の高コレステロールを改善することが期待される

コレステロールの薬は一生服用する必要がある?

  • 心臓や脳血管障害、糖尿病といった病気を発症していないこと、血液検査の結果が良い状態が続いているなど、いくつかの条件を満たしていれば、薬を服用しなくてもよい可能性がある
  • 薬の服用とともに、食生活や運動、睡眠などの生活習慣の見直しにも取り組む

まとめ:コレステロールを下げる薬は処方薬でのみ入手できる

  • 脂質異常症は、動脈硬化を進行させ、心臓や脳血管の病気などのリスクを高める
  • コレステロールを下げる薬は処方薬のみ。ただし、コレステロールの改善効果が期待できる栄養素を含んだ市販薬はある
  • 動脈硬化の進行を抑えるには処方薬の服用が欠かせないが、同時に食事や運動を見直すことも必要
  • 生活習慣の改善によって体の状態がよくなれば、服用する薬が代わったり、薬が不要となる可能性もある
  • 医師と相談しながら、治療を進めることが大切

医師から薬剤師の方々へコメント

山本 康博 先生
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生

脂質異常症に対する薬剤は多くありますが、なんといってもHMG-CoA還元酵素阻害剤 (スタチン系薬剤) がその有効性と使用頻度から最も知識を得ておくべき薬剤です。悪玉コレステロール(LDL)を効果的に低下させ、さまざまな心血管イベントの予防に効果があることが証明されており、非常に多くの患者さんが内服しています。

副作用として有名なのは横紋筋融解症ですが、実際のところ発症することはかなりまれです。もちろんスタチンのようなメジャーな薬の副作用は、どんなにまれなものであってもしっかり学んでおくことは重要ですが、実際によく患者さんから聞く訴えとして「疲れやすくなった」というものがあることを押さえておいたほうがよいでしょう。実際、前向きのランダム化比較試験でスタチンを内服した群では労作性疲労が多かったというものがあります。

このような漠然とした訴えは問診ではなかなかスタチンと関連づけることが難しいですが、患者さんのQOLを低下させてしまうので、注意して問診していただくとよいと思います。