ピーナッツやうるしなど、食べ物や植物でアレルギー反応が出ることはよく知られていますが、薬でもアレルギー反応が出ることがあります。この記事では、薬によるアレルギー反応の症状や予防法、気をつけたいポイントを紹介します。
薬もアレルギーの原因になる?
- アレルギー反応は花粉やダニ、ペットの毛、食品のほか、薬で起こることもある
- 抗生物質や解熱鎮痛薬、ホルモン剤、酵素製剤、造影剤などがアレルギー反応を起こしやすいと言われる
アレルギー反応は、本来ならば反応しなくてもよい物質に対して、免疫が過剰反応してしまう状態です。アレルギー反応の中には、命に危険を及ぼしかねない重症のアレルギー反応を起こすことがあります。このような強いアレルギー反応のことをアナフィラキシーと言います。
アナフィラキシーとは
- 発症すると、皮膚粘膜症状(発疹や浮腫など)、呼吸器症状(呼吸困難、気道が狭くなる)、血圧の低下、意識障害、激しい腹痛や嘔吐などがみられる
- 最悪の場合、死に至る恐れもある
- もしアナフィラキシーが起こった場合、迅速な治療が必要
重度のアナフィラキシーが起こった場合、血圧を正常にし、気管支を拡張するためにアドレナリンの筋肉注射が第一選択薬となります。呼吸器官の腫れによって呼吸が著しく困難な場合は、気管内挿管や気管切開で気道を確保することになります。
薬によるアレルギー症状の対処法は?
- どんな薬を使用していたかを確認し、ある程度、原因として疑われる薬を絞り込めたら皮膚テスト(パッチテストなど)を行う
- そのほか、薬剤誘発テスト(薬の量を増やしたときの反応をみるテスト)や血液検査を行うこともある。
- 薬剤誘発テストを行う場合、万一に備えて入院することがある
- パッチテストとは
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- 二の腕の内側や背中などに、疑わしい物質を元に作った試薬を含ませた絆創膏を貼る
- 一定期間経過後(48時間後、72時間後、1週間後)の状態を確認する
アレルギーの原因となる薬が判明したら、その薬の使用を中止します。ただし、抗がん剤や抗結核薬など、どうしても服用が望ましい薬がある場合は、少量から徐々に量を増やして、からだを慣らしていく方法がとられることもあります。
薬によるアレルギーを防ぐために気をつけることは?
- 食品アレルギーがある人は、薬のアレルギーが起こるリスクがある
- 家族にアレルギー体質の方がいるときも、突然アレルギーが起こることがある
- 症状が軽度だったとしても、過去にアレルギー反応を起こした薬の名前を記録しておく
まとめ:薬のアレルギーで重篤な症状を引き起こすこともあります
- アレルギー反応は、異物から体を守るための免疫反応によって起こる
- 食品や植物だけでなく、薬で起こることもある
- アレルギー反応が起こると命に関わることもあるため、過去にアレルギー反応があった場合は、原因となった薬の名前を記録する
医師から薬剤師の方々へコメント
前田 裕斗 先生
薬によるアレルギーの判断は非常に難しいですが、必ず押さえるべき症状が2つあります。それは「息苦しさ」と「気持ち悪さ」です。また、嘔吐してしまった場合は要注意です。息苦しさと嘔気・嘔吐が薬剤内服後に出た場合はすぐに病院へかかり、一時的な症状で治ったとしても、必ず薬剤名をメモして医療従事者に伝えましょう。
薬を内服後に出た皮膚症状(発疹など)も、当然医師や薬剤師に伝えるべきものです。ただ、そこまで致命的な症状ではなく、また皮膚症状はアレルギー以外で生じることもあるため、薬の重要度によっては同じ系統のお薬を勧められることもあります。