抗生物質にはさまざまな種類があります。この記事では、マクロライド系の抗生物質について、その特徴や薬の種類、副作用について解説します。
マクロライド系抗生物質の働き
- 細菌の生命維持活動などに必要なタンパク質の合成を阻害し、細菌の増殖を抑える
- タンパク質合成が行われる「リボソーム」に作用して抗菌作用を表す
- 細胞壁をもたないマイコプラズマなどの細菌や、細胞内にいるクラミジアなどにも抗菌作用がある
- 服用する際に苦みを感じやすい
- 独特の苦味は、水かお白湯で飲むと抑えることができる
主なマクロライド系抗生物質
ジスロマック®︎
- 成人用はドライシロップ剤や細粒剤、小児用はカプセル剤が多い
- それぞれの疾患や用途など状況に応じて使う薬が選択される
- 感染症の種類や使う剤形によって、服用方法が異なることもある
エリスロシン®︎
- 顆粒剤、錠剤、注射剤、ドライシロップ剤などが多い
- それぞれの疾患や用途など、状況に応じて使う薬が選択される
ジョサマイ®︎、ジョサマイシン
- ドライシロップ剤、錠剤、シロップ剤などがある
- それぞれの用途など状況に応じて使う薬が選択される
- 他のマクロライド系抗生物質と比較すると、内服時の苦みが少ない
クラリス®︎、クラリシッド®︎
- クラミジア、マイコプラズマの治療で比較的優先して使われる薬
- ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療で使うこともある
- それぞれの用途など状況に応じて使う薬が選択される
マクロライド系抗生物質の副作用は?
- 主な副作用としては、腹痛、吐き気、下痢などの消化器症状がみられることがある
- QT延長症候群や心室頻拍などの循環器症状がみられることもあるため、心疾患のある方への使用は特に注意が必要
まとめ:マクロライド系抗生物質は苦味が特徴です
- マクロライド系の抗生物質には薬や剤形もさまざまなものがあり、疾患や用途などに応じて薬が選択される
- 独特の苦味は、水かお白湯で飲むと抑えることができる
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
クラリス®︎やジスロマック®︎は非常に頻用される薬剤ですが、実は意外と注意すべき副作用が多くあります。特に致死的になるのはQT延長症候群などの不整脈で、近年ではその使用頻度の多さからも、非常に注意が必要であることがわかっています。
クラリス®︎は耳鼻科の副鼻腔炎などで頻用されますが、心電図の所見や心疾患の既往歴などが見落とされることがあります。ですので、薬局で「心疾患や不整脈と言われたことはありませんか」などと一言尋ねていただくと、致死的不整脈を防ぐことができる可能性があります。また、下痢をする頻度も多いので、こちらも薬局で一言お腹が緩くなるかもしれませんとお伝えいただくと良いでしょう。