医療機関などで使われる消毒薬のひとつに次亜塩素酸水があります。この記事では、次亜塩素酸水の特徴を中心に解説します。
次亜塩素酸水とは
- 次亜塩素酸水とは、塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解することで得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液
- 人体への影響は少ない
- 医療器具の洗浄・消毒、食品加工や関連機器の消毒などに使われる
- アルコールでは殺菌が難しいノロウイルスなど、感染力が強いウイルスにも効果を発揮する
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いは?
次亜塩素酸水
- 次亜塩素酸が主成分
- pH2.2~7.5
- 原液のままで使用できる
- 基本的に無臭だが、反応時に塩素臭がする
- 刺激性・毒性はない
- 人体への影響は少ない
次亜塩素酸ナトリウム
- 次亜塩素酸イオンが主成分
- pH7.5以上
- 用途によって薄めて使用する
- 強烈な塩素臭がある
- 刺激性があり、酸と混ぜると有毒ガスが発生する
- 皮膚に付着するとケロイド症状を引き起こす
次亜塩素酸水の使い方
- 100ppm程度に薄めると、焼き肉、トイレ、タバコ、寝室などの消臭に利用できる
- 200ppm程度に薄めると、キッチンや台所まわり、ごみ箱やエアコンの消毒、消臭に利用できる
- 400ppm(市販の商品で最も濃度が高い)ものは、ノロウイルス感染時の汚物処理や風呂場のカビ取りなどにのみ使用する
次亜塩素酸水を使うときの注意点
- 使用する前に汚れを落とす(特に油汚れ)
- 消毒したいも物の表面をひたひたに濡らしてから拭き取る
- 清潔な掃除道具を使う
- 紫外線で分解されるため、遮光性の容器に入れるか、通気性のよい暗所に保管する
- 時間が経過すると濃度が低下するので早めに使い切る
- 他の薬品や洗剤と混ぜて使用しない
まとめ:次亜塩素酸水は人体への影響は少ないものの、長期保管には向いていません
- 次亜塩素酸水は人体への影響が少ない消毒液
- 時間経過で濃度が下がると殺菌力もなくなるため、長期保存には向かない
- 余った場合は冷暗所で保管し、早めに使い切る
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
次亜塩素酸水を使うのはノロウイルスが発生したときです。ノロウイルスは非常に感染力が強く、嘔吐物の周囲には広範囲にわたってウイルスが撒き散らされます。それが別の人の手について、その手で食事などを取ると、ほかの人に感染します。
ノロウイルスの除菌はアルコールでは不十分です。薬局で次亜塩素酸水を購入し、感染が拡大しないようにしましょう。整腸剤をもらいに来る患者さんに説明し、次亜塩素酸水で除菌していただくと、さらなる感染を未然に防ぐことができると思います。