葉酸代謝拮抗薬はどんな病気のときに服用する?

葉酸代謝拮抗薬は、リウマチや、がん治療などに使われる薬として知られています。この記事では、葉酸代謝拮抗薬の種類や副作用などをご紹介します。

葉酸代謝拮抗薬とは

  • 葉酸代謝拮抗薬は、DNAの合成に必要な葉酸代謝酵素をブロックすることで細胞の増殖を抑制し、抗腫瘍効果などをもたらす薬。

DNAを構成している塩基には主にグアニン、アデニン、チミン、シトシンがあり、その構造によってピリミジン塩基とプリン塩基に分かれています。そして、これらの塩基を作るのは、テトラヒドロ葉酸を生成している「ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)」の働きによるものといわれています。

葉酸代謝拮抗薬は、DHFRなどのDNAの合成に必要な葉酸代謝酵素を阻害し、がん細胞などの増殖を抑制することで、抗腫瘍効果をもたらすと考えられています。

主な葉酸代謝拮抗薬は?

メトトレキサート製剤(商品名:メソトレキセート®)
  • 葉酸代謝酵素であるジヒドロ葉酸還元酵素をブロックすることにより、抗腫瘍効果をもたらす
  • リウマチに対するキードラッグ(治療の主体となる薬)と言われる。腫瘍では膀胱がんでのMVAC療法や、乳がんでのCMF療法、産婦人科領域の絨毛性疾患などで使われる(リウマチと腫瘍に対しては投与量が異なる)
プララトレキサート製剤(商品名:ジフォルタ®)
  • タンパク質の還元型葉酸キャリア-1(RFC-1)を通して細胞に取り込まれ、長い間留まるように改良された製剤
  • 主に難治性の末梢性T細胞リンパ腫や再発などで使用される
  • 副作用を軽減するために、ビタミンB12製剤やパンビタン®︎などの葉酸製剤などを併用することもある
ペメトレキセド製剤(商品名:アリムタ®)
  • さまざまな葉酸代謝酵素をブロックすることにより、抗腫瘍効果をもたらす
  • 主に悪性胸膜中皮腫(CDDP+PEM療法)や非小細胞肺がんなどに使用される
  • 葉酸とビタミンB12が不足する恐れがあるため、パンビタン®︎などの葉酸製剤やビタミンB12製剤を併用する

葉酸代謝拮抗薬でみられる副作用は?

  • 口内炎
  • 消化器症状(便秘、下痢、食欲不振、嘔吐など)
  • 皮膚症状(脱毛、色素沈着、発疹など)
  • 骨髄抑制(好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、白血球減少など)による肺炎や敗血症などの重篤な感染症

のどの痛み、寒気、突然の高熱、むくみ、尿量減少、一時的な尿量過多などがみられた場合にはすぐに医師や薬剤師へ相談しましょう。

まとめ:葉酸代謝拮抗薬は、主にがん治療などに使用される薬です

  • 葉酸代謝拮抗薬には、DNAの合成に必要な葉酸代謝酵素を妨げ、細胞の増殖を抑えるはたらきがある
  • 無秩序に細胞を増やすがん細胞に効果がある薬だが、その反面、さまざまな副作用がみられることもある
  • 副作用がみられたら、かかりつけの医師に相談を

医師から薬剤師の方々へコメント

前田 裕斗 先生
国立成育医療研究センター フェロー
前田 裕斗 先生

メトトレキサートはリウマチに対しても使うため、最もよく聞いたことがあるかもしれません。副作用対策が大切で、8mg以上の量では葉酸製剤の内服がすすめられます。口内炎に対してはアズノールなどのうがい薬や半夏瀉心湯などの漢方薬を、消化器症状については症状に合わせて内服薬が処方されますが、発疹などの強い皮膚症状や骨髄抑制が生じた場合は一旦休薬が必要となる場合もあります。副作用の程度によっては病院に受診するよう促しましょう。