毎年冬に猛威を振るうノロウイルスの感染や二次感染を防ぐには、正しい消毒方法や予防方法を知っておくことが大切です。この記事では、ノロウイルスを予防するポイントを紹介します。
ノロウイルスを消毒するには?
- ノロウイルスは、ノンエンベロープウイルスの一種
- ノンエンベロープウイルスはアルコール消毒や熱への抵抗力が強いため、通常のアルコール消毒では除去できない
- ただし、最近ではノンエンベロープウイルスにも効く酸性アルコール消毒剤が開発・販売されている
ノロウイルスの消毒方法
- ノロウイルスには、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効
- 次亜塩素酸ナトリウムは、市販の「家庭用塩素系漂白剤(濃度約5%)」に含まれている
消毒薬の作り方
- ドアノブ消毒用
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- 水2.5リットルと家庭用塩素系漂白剤10mL(ペットボトルのキャップ2杯分)を混ぜる
- 消毒液の濃度は200ppm
- 吐瀉物や便の付着箇所の消毒用
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- 水0.5リットルと家庭用塩素系漂白剤10mL(ペットボトルのキャップ2杯分)を混ぜる
- 消毒液の濃度は1000ppm
消毒する際の注意点
- 消毒の際は必ず換気する
- 使い捨てのエプロンやマスク、手袋、靴カバーを装着する
- 対象となる吐瀉物や便にペーパータオルを被せて全体を覆い、1000ppmの消毒液をかける
- ちりとりやへらなどを使って全て除去したら、二重にしたビニール袋に入れ、消毒液を上からかけ、口を縛る
- 嘔吐した場所から半径3mの範囲にも、200ppmの消毒液とペーパータオルで消毒する
- 消毒が終わったら手袋などを外し、同じビニール袋に入れて処分する
なお、この消毒液には漂白作用があります。色落ちを防ぐために、衣類などを消毒する場合は、85℃以上の熱湯消毒にしましょう。また、消毒液は時間が経つと効力が落ちる恐れがあるので、必ず使い切ってください。
- スプレー消毒に要注意!
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- 消毒液をスプレー容器に入れると、噴霧時に目に入る危険性がある
- 直接消毒液を使うのがベストだが、どうしてもスプレーしたい場合は必ずゴーグルを着用する
ノロウイルス予防のための手洗いのコツは?
- ノロウイルスは手や指を通じて感染が拡大するため、手洗いは感染予防の観点からも重要
- 特に、トイレの後と食事の前は忘れずに手を洗う
- 食べ物に触れる前にもしっかり手洗いする
正しい手洗いの方法
- 流水で手をさっと洗う
- 石鹸を手に取る
- 手のひら、指の腹を洗う
- 手の甲、指の背を洗う
- 指の間、側面、付け根(親指と親指の付け根も)洗う
- 指先と爪の間も洗う
- 手首の内側、側面、外側を洗う
- 流水でよく洗い流す
- 手をタオル等で拭き、乾燥させる
ノロウイルスの予防に手洗いやマスクは効果がない、と言われることもありますが、まったく効果がないわけではありません。ウイルスは指先よりも手首周辺に付着しやすいので、手首までしっかり洗えばウイルスを落とすことができます。また、ホコリや水滴に乗って空気中を漂うウイルスは、通常のマスクでもある程度防ぐことができます。
まとめ:正しい消毒と手洗いで、ノロウイルス感染を予防しましょう
- 手洗いと正しい消毒は感染症予防の基本。ノロウイルスの予防にも効果が期待できる
- 食事の前やトイレの後には必ず手を洗う、吐瀉物やドアノブは適切な消毒液を使って処理する、の2点を心がけて予防する
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
ノロウイルスの感染力はものすごく強く、嘔吐物から非常に広範囲にウイルスが広がります(「ノロウイルス 範囲」などと検索していただくとよくわかると思います)。その広がったウイルスが付着した場所を手で触り、それが口に移ると感染します。したがって、手洗いが最後のとりでであり、非常に重要です。
特に、冬場はどこにノロウイルスがついているかわかりません。原始的ですが、手洗いがシンプルながら最も効果的な予防法です。