感染症の予防に手洗いが効果的な理由と、洗い方のポイントは?

手を洗うことが感染症を予防する上で大切と言われています。この記事では、その理由と手の洗い方をご紹介します。

感染症などの予防に手洗いが有効な理由

  • 風邪やインフルエンザなどに感染している人の手には、その原因となる細菌やウイルスが付着している可能性がある
  • 感染者がその手で手すりやドアノブ、電車やバスのつり革などに触れると、細菌やウイルスが付着し、その部分を触った別の人が手を介して目や鼻、口などから細菌やウイルスが体内に入って感染してしまう可能性がある

2種類の手洗い方法

1. 日常手洗い

  • 帰宅後や食事前、トイレ後など日常生活で行う手洗いのこと
  • 感染症や食中毒の原因となる細菌などを洗い落とすために行う
  • 石鹸をしっかりと泡立て、手のひらや甲、手のしわに至るまで、まんべんなく石鹸をつける(約30秒)
  • 流水で洗い流す

親指のまわりや手首、手のしわや指の間などは汚れが残りやすいと言われています。指と指の間を洗うときは両手を組んで行う、手のひらの上にもう一方の指先を置いてこすり洗いをするなど、それぞれの部分を丁寧に洗いましょう。

衛生的手洗い

  • 主に医療・福祉の従事者や、食品を扱っている方が行う方法
  • すべての通過菌を殺菌または除去する目的で行う
  • 洗って水分をふき取った後、消毒も行う
手順
  • 手と指を流水でぬらし、石鹸を手にとる
  • 手のひらと手のひらをこすり合わせて、泡立てる
  • 手の甲をもう片方の手のひらで包み込むように洗う(両手)
  • 指を組み、両手を絡めて指の間を洗う(両手)
  • 親指をもう片方の手で握り、ねじるようにして洗う(両手)
  • 指先をもう片方の手のひらでこするようにして洗う(両手)
  • 両手首を丁寧に洗い、流水ですすぐ
  • ペーパータオルで水分をふき取る

手を洗うときの注意点は?

貴金属などを外す

  • 手を洗う前に、時計や指輪などの貴金属をはずす
  • つけたまま手を洗うと、汚れなどを十分に落としきれない可能性がある

石鹸を使う

  • 水やお湯で洗い流すだけでは、手についた細菌やウイルスを落とすことはできない
  • 指先や爪の間など、手のすみずみまで丁寧に洗う
  • 洗う時間は約30秒間、洗い流すのは20秒間が目安

水またはぬるま湯で丁寧に洗う

  • 洗い残しがあると、細菌やウイルスなどが手に残ってしまう
  • お湯の温度が熱いと皮膚に必要な油分も洗い流されて手荒れの原因になる
  • 手荒れを起こした皮膚は細菌が繁殖しやすいため、スキンケアを欠かさないことも大切

まとめ:丁寧に手を洗うことが、風邪やインフルエンザの感染予防になります

  • 手には細菌やウイルスなどをはじめ、目に見えない汚れなどがついている
  • 時間をかけて丁寧に手を洗い、風邪などの感染症を予防する

医師から薬剤師の方々へコメント

山本 康博 先生
東京大学医学部卒 呼吸器内科医
山本 康博 先生

風邪などのウイルス感染を防ぐ効果が証明されているものは、ワクチンを除くと手洗いしかありません。サージカルマスク装着ですら、大規模な試験で感染症の予防効果を示したものはないと思います。

あまりに当たり前すぎて見過ごしがちな手洗いですが、手をしっかり洗うことが感染症の予防には最も大切です。それができた上で、そのほかの対策を考慮するのが妥当だと思います。風邪の時期になると有効なサプリメントはありませんか、などと質問をされることが多いと思いますが、まずは手洗いをするようにお話ししていただくのがよいと思います。

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