ビタミンEはナッツ類や油に多く含まれている脂溶性の栄養素で、抗酸化作用があります。この記事では、ビタミンEの働きや効果的な摂取法とともに、1日あたりの摂取量の目安を紹介します。
ビタミンEの働きは?
- ビタミンEは、「トコフェロール」とも呼ばれる脂溶性ビタミンのひとつ。強力な抗酸化作用があることから、アンチエイジングに有効なビタミンとして知られている
- ビタミンCとともに、活性酸素から細胞を守る。また、ビタミンAやカロチノイドなど、他の抗酸化物質の酸化も防いで細胞の老化を防ぐ
- 血液中ではLDLコレステロールの酸化による動脈硬化などの疾患を予防する
- 細胞を柔軟化して筋肉の緊張をやわらげ、体の末端の末梢血管を広げて血行を促す働きもあるため、筋肉疲労や頭痛にも効果がある
ビタミンEを多く含む食べ物は?
- ナッツ類(アーモンドやヘーゼルナッツなど)
- 植物油(小麦麦芽油、ひまわり油、綿実油など)
- 魚介類(ウナギやタラコ、アンコウの肝など)、大豆、穀類、西洋カボチャ、アボカドなどにも多い
ビタミンEは、ビタミンA、ビタミンCと一緒に摂ると、活性酸素のダメージを抑えることができます。このため、緑黄色野菜を植物油で炒めて食べるのがおすすめです。
なお、ビタミンEは酸や熱に強いため、調理で失われることはほとんどありませんが、光に弱いため、暗い場所で保管する必要があります。
1日に必要なビタミンEは?
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日当たりの推奨量を以下のように定めています。
- 18歳以上の男性:6.5mg
- 18歳以上の女性:6.0mg
ビタミンEは比較的蓄積しにくく、他の脂溶性ビタミンに比べ毒性が弱いため、過剰症は表れにくいです。ただし、サプリメントなどで極端に過剰摂取した場合、健康障害があらわれる可能性があるため、以下のように1日当たりの摂取上限量が定められています。
- 男性
-
- 18~29歳:800mg
- 30~49歳:900mg
- 50~69歳:850mg
- 70歳以上:750mg
- 女性
-
- 18~29歳:650mg
- 30~69歳:700mg
- 70歳以上:650mg
ビタミンEが不足するとどうなる?
- 神経や筋障害の症状がみられる
- 血行不良により、冷え症や頭痛、肩こりなどを起こしやすくなる
- 抗酸化力が低下するため、肌を紫外線などの刺激を受けてシミ・シワができやすくなる
- コレステロールの酸化によって動脈硬化を招く恐れがある
まとめ:ビタミンEはナッツ類、植物油などに豊富に含まれています
- ビタミンEは、脂溶性ビタミンのひとつ
- 強力な抗酸化作用で、活性酸素から細胞を守ったり、血液循環をよくする作用がある
- ナッツ類や植物油、魚介類、大豆、穀類、西洋カボチャやアボカドなどに豊富に含まれる
- 1日の摂取量の目安は、18歳以上の男性で6.5mg、女性で6.0mg
- 不足すると、血行不良による肩こりや冷え症、動脈硬化、肌トラブルが起こる恐れがある
- サプリメントによる過剰摂取に注意する
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
ビタミンEは抗酸化作用があり、美容に良いなどという売り込みでとても人気の高いビタミンです。一方で、脂溶性ビタミンであるため、摂りすぎると体内に過剰量が蓄積し、かえって体にデメリットをもたらす可能性があります。
実際、複数の研究がビタミンEの過剰摂取は逆に死亡率を上昇させてしまうことを示唆しています。特に、サプリメントには自然界に存在しえないほどの高濃度でビタミンEが濃縮されています。体は進化の歴史の中で突然大量の脂溶性ビタミンが入ってくる状況を経験していないため、大量摂取によって体が想定していない影響があらわれるのも当然かもしれません。毒と薬は表裏一体ですので、摂りすぎに注意しましょう。