血圧を下げる薬のひとつにCa拮抗薬があります。この記事では、Ca拮抗薬の特徴や薬の種類、主な副作用を紹介します。
Ca拮抗薬ってどんな薬?
- Ca拮抗薬はカルシウムに作用する薬
- カルシウムは骨や歯だけでなく、血管などの組織にも微量に存在し、血管の筋肉を縮める働きを持つ
- Ca拮抗薬を服用すると、 カルシウムが血管の筋肉を縮めようとする働きを抑制し、血管を拡げて血圧を下げる
降圧効果がほかの薬と比べて強力で副作用も少ないため、幅広く利用されています。また、糖代謝、脂質代謝、電解質代謝に悪影響を与えないことなどから、ほかの病気を併発している患者にも処方されます。特に心臓の血管(冠動脈)に作用すると、心臓への血液量増加だけでなく、血管のけいれんにも対処できるため、狭心症にも利用されます。
Ca拮抗薬の種類
ジヒドロピリジン系(代表的なもの)
- ニフェジピン(商品名:アダラート®︎、アダラート®︎L、アダラート®︎CR、セパミット®︎、セパミット®︎R)
- アムロジピン(商品名:ノルバスク®︎、アムロジン®︎)
- エホニジピン(商品名:ランデル®︎)
- シルニジピン(商品名:アテレック®︎)
- ニカルジピン(商品名:ペルジピン®︎、ペルジピン®︎LA)
- ニソルジピン(商品名:バイミカード®︎)
ジヒドロピリジン系の薬は、抹消血管に作用して血管を拡張し、心臓に対してはほとんど作用しない特徴(血管選択性)があります。
ベンゾチアゼピン系(非ジヒドロピリジン系)
- ジルチアゼム(商品名:ヘルベッサー®︎、ヘルベッサー®︎R)
Ca拮抗薬・スタチン配合剤
- アムロジピン・アトルバスタチン(商品名:カデュエット®︎)
Ca拮抗薬の副作用や服用時に気をつけたいポイントは?
代表的な副作用
- 消化器症状(吐き気や食欲不振など)
- 精神神経系の症状(頭痛やふらつきなど)
- 循環器系の症状(血圧変動や徐脈など)
- 肝機能検査値の異常
- 歯肉肥厚
- むくみ
- 便秘
- うっ血性心不全(ただし、頻度はまれ)
ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は血管選択性が高く、強力な降圧に伴って脈数が増える可能性があります。一方、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は心抑制のため、心不全や高度の徐脈例には用いることができません。
まとめ:Ca拮抗薬には種類があり、それぞれ副作用も異なります
- Ca拮抗薬はカルシウムが血管などで筋肉を縮める働きを抑制し、血管を広げて血圧を下げることができる
- 副作用が比較的少ない薬として知られているが、まったくないわけではない
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
高血圧に対して使用されるCa拮抗薬は、日本で最も使用頻度が高い薬です。副作用を訴える方はあまりいらっしゃらないように思いますが、低血圧に伴うふらつきや転倒には注意が必要です。欧米を中心に、近年では厳格に降圧すると心血管予後を改善すると言われており、積極的な降圧が勧められています。
一方で、高齢者の場合は過剰な降圧による転倒、虚血性脳卒中のリスクが高まるとも言われています。いずれにせよ、降圧薬の内服を適切にすることは非常に大切ですので、よくある薬とはいえ、軽視せずに服薬指導をしていただくのが良いと思います。