薬には水と一緒に服用するタイプだけでなく、水なしで服用できるものもあります。この記事では、水なしで服用できるOD錠について、処方される理由やメリット・デメリット、服用時の注意点を紹介します。
OD錠ってどんな薬?
- OD錠は水なしで飲める薬
- ODとは Oral Disintegration の略で「口腔内崩壊錠」のこと
- 口の中に入れたあと、すぐに溶けて剤形が崩れるのが特徴
- 日本では1997年に発売され、市販薬を含めてさまざまな種類がある
- 生物学的同等性試験を行った結果、錠剤の効果と違いはないことが判明している
OD錠のメリット・デメリットは?
メリット
- OD錠は少しの水や唾液で溶けるため、以下のような方でも服用しやすい
- OD錠が向いている方
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- 子供や高齢者
- 嚥下機能が低下している方
- 水分摂取制限がある方(人工透析、心臓や肺にむくみがある方など)
- 服用に介助が必要な方
- 寝る前に水分を摂りたくない方
- 外出先などで手軽に服用したい方
デメリット
- 壊れやすい
- 湿気を吸収しやすい
- 味に特徴がある
- 水で飲む薬と一緒に飲む場合はメリットを実感しづらい
- OD錠がない薬もある
OD錠を飲むときの注意点
- 基本的な飲み方
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- 湿度など、環境の影響を受けやすいため、シートから出したらすぐに服用する
- OD錠を舌の上に置いて唾液を含ませ、唾液または少量の水と一緒に飲み込む
- 水やぬるま湯と一緒に飲んでもよい(水などと飲んでも効果は変わらない)
- 姿勢に注意
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- 寝たまま飲むと、錠剤が食道に引っかかったり、気管に入ったりする恐れがある
- 体を起こすか、上体を少し起こしてから服用する
なお、OD錠ではない薬を水なしで飲むことはできません。食道や胃などの消化器官に炎症が発生したり、薬の吸収や効果の発揮を妨げる恐れがあります。
まとめ:OD錠で服用の負担を軽減できます
- 通常の薬の服用に負担を感じている場合や、特定の病気の治療中の場合、水なしで飲めるOD錠で負担を軽くできる
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
近年OD錠は人気で、多くの薬剤にODの剤形が登場しています。医師も通常の剤形とOD錠があると、なんとなくOD錠を処方しておくということがあるようです。
しかし、患者さんの中には異常にOD錠を嫌う方(ねばつく、味が嫌だ、など)がいるため、ともすると患者満足度を下げることにもつながります。また、多くの薬を服用している方の場合も、1つだけOD錠だったりすると少し不便のようです。細かいことですが、満足度を高めるためにも、OD錠が嫌でないかをお尋ねしていただくとよいと思います。