ジェネリック医薬品を勧めるとき、メリット・デメリットを丁寧に説明すると患者さんにも安心していただけます。この記事では、ジェネリック医薬品のメリット・デメリットを解説します。
ジェネリック医薬品とは
- 先発医薬品の特許・独占販売期間終了後に製造された医薬品
- 後発医薬品と呼ばれることもある
- 開発から承認までの期間が短いのが特徴
- 有効成分や製法は先発医薬品と同じ
ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じく、法律に基づく基準で製造され、販売前には先発医薬品と同等の品質検査をクリアしています。さらに、元になった先発医薬品との同等性を確認する試験も実施されているため、ジェネリック医薬品の効能と安全性は、先発医薬品とほぼ同じと確認されています。
ジェネリック医薬品のメリット
1. 先発医薬品をもとに工夫・改良されている
- 先発医薬品が独占販売されていた間に判明した問題点や改善点を考慮している
- このため、剤形などに工夫を施すことがある
- 工夫の一例
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- 飲みにくい大きな錠剤を小さくする
- 有効成分の含量や、剤形の大きさを増やす
- 剤形が似ているほかの薬と間違えないよう、色や形を変える
- 錠剤を飲みこめない患者のために、粉末や液体、ゼリー状の薬を作る
- においや味を改良する
2. 先発医薬品より安価である
- 開発にかかる時間や費用を抑えられるため、先発医薬品よりも安価で販売できる
ジェネリック医薬品のデメリット
1. 使用感や効果が異なる可能性がある
- 先発医薬品とまったく同じ使用感のものを作るには、主成分の特許に加え、薬の製造に関わる特許も切れている必要がある
- 薬の製造に関わる特許が切れていない場合、使用感や効き目、副作用のあらわれ方が異なる可能性がある
- 場合によっては、予期せぬアレルギー反応が出ることもある
ジェネリック医薬品は、先発医薬品の主成分にかかる2種類の特許(物質特許と用途特許)が切れると製造できます。しかし、先発医薬品には、それ以外にも製法特許や製剤特許などもあります。
これらの特許の有効期間は主成分の特許と異なる場合もあるため、ジェネリック医薬品に切り替えたことで効能・効果が変わったり、思いがけない副作用がみられる恐れがあります。
2. 先発医薬品開発費用が不足する可能性がある
- 先発医薬品が高価なのは、開発費用を回収した上で新しい薬の開発費用を確保するため
- ジェネリック医薬品ばかり製造・販売していると、新薬開発費用を捻出しづらくなる可能性がある
まとめ:メリット・デメリットの両方を知り、ジェネリック医薬品を上手に利用しましょう
- ジェネリック医薬品は、特許と独占販売期間が切れた先発医薬品と同じ有効成分を使っている
- メリットとして、先発医薬品をもとに飲みやすい工夫を施していること、比較的安価なことがある
- デメリットは、有効成分以外の成分が異なる場合もあるため、アレルギー反応や副作用が起こるリスクがある
医師から薬剤師の方々へコメント
山本 康博 先生
ジェネリック医薬品は、患者さんの金銭的負担を軽減するのに役立ちます。このため、ジェネリックへの切り替えを積極的に進めている病院もたくさんあります。
ただ、患者さんの中にはジェネリックに切り替えると薬が効かなくなるのではないか、副作用が出るのではないか…といった不安を感じる方もいらっしゃいます。実際、少ないながらも予期せぬ効果や副作用が出現する可能性はあります。漠然と「大丈夫ですよ」と伝えるのではなく、ジェネリックに切り替えるメリット・デメリットを正しく伝えて、安心して服用していただけるようにするのがとても大切だと思います。